フラワー長井線は22日、赤湯-荒砥間の全線開通100周年を迎え、始発終着駅の荒砥駅(白鷹町)や赤湯駅(南陽市)で記念イベントが繰り広げられた。長井、南陽、白鷹、川西の沿線4市町で咲くアヤメやダリアといった花をデザインしたラッピング列車を初めて4両連結で運行し、残雪や緑が芽吹く山々をバックに走る姿に住民らが手を振り「100歳」を祝った。
旧国鉄長井軽便線として1913(大正2)年、赤湯-梨郷間で開業。14年に長井駅まで、22年には鮎貝駅まで延伸し、23年4月22日に荒砥駅まで30.5キロ全線が開通した。経営悪化による廃線の危機を経て、88年から県や沿線自治体が出資する第三セクター・山形鉄道が運営。高校生の通学や観光業を支える一方、乗客数減少が課題となっている。
白鷹と南陽で記念のイベント、多彩に
フラワー長井線が22日、全線開通100周年の節目を迎えた。赤湯-荒砥間を特別列車が運行し、両駅がある白鷹町と南陽市では記念のイベントが開かれた。「運転士になりたい」「長井線は青春そのもの」。訪れた人々はさまざまな思いを胸に楽しみ、身近な鉄道の未来を見据えた。
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白鷹町では、100年前に開業した荒砥駅周辺を会場に記念式典と催しがあった。目玉は、それぞれの車体に沿線4市町で咲く花をあしらったラッピング列車の初となる4両連結運行。同駅を発着する場面では、大勢の家族連れや鉄道ファンがカメラを向けた。
ラッピング列車は長井市のアヤメ、南陽市の桜、白鷹町の紅花、川西町のダリアがそれぞれデザインされ、通常は1~2両編成で走る。乗車した荒砥小3年の熊谷勇軌(ゆうき)君(8)は「将来は長井線の運転士になりたい」と胸を躍らせた。
100歳から0歳へ―。式典では、数え年100歳の小角きみさん(98)=同町荒砥乙=から生後4カ月の小川織都(おりと)ちゃん=同町萩野=に列車のブレーキハンドルをリレーし、鉄道の継承を誓った。運行する山形鉄道の中井晃社長は「これからも必要とされるよう努力する」と決意を語り拍手を浴びた。
30周年を祝い作られた歌を当時歌った旧荒砥中生が再び披露し、参加した五十嵐徹さん(82)=さいたま市=は「長井線に乗って集団就職で関東に出た。長井線は青春そのもの」と振り返った。ミニSL乗車や線路点検用カート試乗が子どもたちの人気を集め、音楽ライブもにぎわった。
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南陽市の赤湯会場では、赤湯駅西側広場で「ハルノヒ。♯桜咲くマルシェ」が開かれた。同市内を中心とする飲食店や企業が菓子やカフェ、ピザ、肉料理など約20店を出店し、来場者が地元特産品を味わうなどして沿線の魅力を楽しんだ。
沿線のアクティビティーを知ってもらおうと、市内の十分一山からのパラグライダー疑似飛行をVR体験するブースが設けられ、希望者が長蛇の列を作る人気となった。長井市出身で南陽市若狭郷屋に住む看護師木川大亮さん(34)は「上空からの映像は迫力があって、実際に空を飛んでいるような疑似体験ができた。臨場感たっぷりだった」と笑顔で話していた。
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