鶏卵生産加工販売の半沢鶏卵(天童市、半沢清彦社長)は、アニマルウェルフェア(動物福祉)に配慮した「平飼い卵」の生産を拡大する。健康な鶏が産んだおいしい卵を売りに一般的なケージ(鶏かご)で飼育した卵との差別化を図ることで、ブランド力の強化を目指す。
平飼い卵は、地面に放して飼育され、鶏舎内を自由に動き回る鶏が産む卵のこと。国内で販売されている卵はほとんどがケージ飼いの卵で、かごに入れられ地面から離して飼育されているので、運動することができない。
同社は県内4カ所の養鶏場で約4万2千羽の鶏を育てている。これまで平飼いを行っていたのは村山市の養鶏場の約2400羽だけだったが、東根市の養鶏場を改築して約760平方メートルの鶏舎を設け、新たに約5千羽を追加する。
アニマルウェルフェアの先進地である欧州連合(EU)では「1平方メートルに9羽以下」が平飼い時の飼養密度の基準とされている。同社が今回導入する鶏舎は「1平方メートルに6.4羽」で、EU基準を上回っている。
また村山市の養鶏場では餌の配合から採卵まで全て手作業で行っており、効率が悪かった。東根市の新しい鶏舎には、自動給餌機や自動集卵機を導入する。日本政策金融公庫山形支店から融資を受けた。
半沢社長(64)は「よく動き回り、良質の餌をたくさん食べるので、品質の良い卵ができる。飼育コストが高くなる分、値段も張るが、体にいいものを求めるシニア層などを狙いたい」と語った。
村山市の養鶏場で生産した平飼い卵は「紅輝卵(こうきらん)」の名称で販売している。東根市で生産する平飼い卵は新たなブランド卵として売り出す計画で、今月中の出荷を目指している。同社の直売施設やネット通販で取り扱うほか、既に生卵の輸出実績がある香港などでの販売も見据えている。
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