藤沢さんの魅力、いつまでも 鶴岡藤沢周平文学愛好会、24年の歴史に幕

2023/3/27 07:37
臨時総会を前に記念撮影する鶴岡藤沢周平文学愛好会の会員たち=鶴岡市・愉海亭みやじま

 鶴岡市出身の作家・藤沢周平さん(1927~97年)の熱心な読者でつくる鶴岡藤沢周平文学愛好会が26日、会員の高齢化などを理由に、24年間の歴史に幕を下ろした。藤沢さんをしのぶ「寒梅忌」などを通して全国に魅力を発信し、ファンを拡大してきた。同日の臨時総会で愛好会は解散したものの、それぞれが藤沢さんの魅力を、次世代に伝えていく思いを新たにした。

 同会は1998年の市立図書館主催の読書会「藤沢文学を読む」の参加者が、藤沢さんの作品についてさらに学びたいと、翌99年に設立した。読書会や講演会の開催、年4回の「愛好会つうしん」の発行などの活動を通して藤沢ファンの裾野を広げてきた。寒河江浩二山形新聞社長・主筆(山形新聞グループ経営会議議長)が顧問を務め、2014年に講演するなどした。

 藤沢さんの命日に合わせて開催し、全国から多くの人を集めた「寒梅忌」は、20回の節目となる19年まで継続した。風雪に耐え、百花に先駆けて春を呼ぶ寒梅を、故人の人柄や作風などに重ねた。ゆかりの人や研究者、各界の多彩な講師を招いて作品の世界を広く紹介し、最終回は県内外から約420人が訪れた。

 現在の会員は約90人。東京都や神奈川県、高知県など全国各地に広がっている一方、年代は70~80代が中心で高齢化が進んでいた。22年度も読書会のほか、市内のゆかりの地を訪ねる「藤沢周平をしのぶ海坂(うなさか)の会」などの活動を展開してきたが、特に幹事の高齢化により、運営の負担が重くなっていたという。「遠方の人も集まりにくくなっていた。世代交代も進まず、苦渋の決断だった」と事務局長の川井良三さん(81)=同市みずほ=は語る。

 この日、同市の愉海亭(ゆかいてい)みやじまで開いた臨時総会には県内外から約40人が出席し、解散を決議した。出席者からは「解散は寂しい」「何かしらの形で集まれる方法はないのか」との意見も出された。引き続きお別れの会を開き、これまでの活動映像を視聴しながら解散を惜しんだ。教員だった藤沢さんの教え子で前代表の萬年慶一さん(86)=同市湯田川=は「庶民に愛されてきた藤沢文学が、いつまでも受け継がれてほしい」と話していた。

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