サッカーの国際親善試合に臨む日本代表に、上山市出身のDF半田陸選手(G大阪)が選ばれた。世代別の代表を経験してきた「山形の至宝」にとって初のフル代表選出。昨季まで所属したモンテディオ山形で主力を担うなど、クラブの下部組織から着実にステップアップしていく21歳に「持ち味を発揮してチャンスをものにしてほしい」。代表入りが決まった15日、県内の関係者が歓喜に沸いた。
半田選手はモンテディオ山形のジュニアユース村山とユースを経て、トップチームに昇格した。「アカデミー出身で初めてフル代表の選手が誕生したことがうれしい」。山形の下部組織を統括するアカデミーダイレクター宮武太さん(55)は感無量の様子だ。
宮武さんがジュニアユース庄内で指導していた際は対戦相手としても半田選手は一目置く存在だったという。フィジカルの強さだけでなく、寄せの速さなどは目を見張るものがあったといい、「陸の頑張りはもちろん、長い目で育ててきたスタッフの努力が報われた感じだ」と力を込める。今回の選出を期待の表れと見ており「持ち味を発揮してチャンスをものにしてほしい」と願った。
小学生時代に所属した上山カメレオンFCの代表・監督の田中達夫さん(65)は「体は小さかったし、技術も他の子より少しうまいかなという程度だった」と振り返りつつ、「もっと練習がしたい、もっとサッカーがしたいという性格で、いつも楽しそうに笑っていた」。初の代表入りに「五輪などを経てからと思っていたので、いきなり選ばれるとは」と驚き「出場したら積極的に攻める姿が見たい」と期待を膨らませる。
「子どもの頃から知っているからこそ、めちゃくちゃうれしい」とは元モンテ戦士の秋葉勝さん(39)。同郷の後輩の栄誉を手放しで喜ぶ。同じ上山カメレオンFC出身で「現役時代にチームに訪れると、にこにこして明るい表情が印象的だった」と振り返る。現在はジュニアユース村山で指導に当たっており「陸は子どもたちの希望であり目標だ。続く選手を送り出して山形のサッカー界を盛り上げたい」と話した。
上山北中2年でジュニアユース村山のFW山田陽友さん(14)は「すごいのひと言」と興奮気味。「自分の強みを生かすために考えてプレーする姿はお手本。自分も頑張らなければ」と刺激を受けた様子だった。
上山市スポーツ協会からの連絡で代表入りを知ったという母智子さん(52)は感涙し「生まれて初めて腰が抜けた」。すぐに本人に電話して「おめでとう、良かったね」と伝えた。「テレビで見た昨年のワールドカップ(W杯)メンバーと、陸が一緒に選ばれているのが信じられない」とし「トップ選手から受ける刺激と経験を、今後に生かしてほしい。スタジアムに行きたいけど不安で直視できないかも」とほほ笑んだ。
|
|