政府は新型コロナの感染症法の位置付けを5月に「5類」へ引き下げるのに伴い、マスク着用は個人の判断に委ねる見通しだ。卒業式や入学式については、マスクを外すことを可能とする案を検討している。
県教委は先月16日、卒業式の対応方針を県立学校や市町村教委に通知した。従来通り「マスク着用の上、身体的距離を確保する」としたが、政府方針が具体化すれば改める。
山形東高は、県の通知に即した内容で実施する構えだ。合唱は着用の上で声を出すとしているが「当然、顔が見えないよりは見える方がいい」。国や県の動きを見極めることになるが、式典後に受験を控える生徒からは慎重な声も聞こえる。
同高3年斎藤世界(せかい)さん(18)は、高校生活でマスクの着用は習慣化したとし「卒業式を特別扱いせず、外さなくてもいいのではないか」と話す。大学受験の中期・後期日程を控える生徒もおり、「感染防止対策で、式典がマスクなしと決まっても外せない生徒はいると思う」と続ける。同じく菖蒲(あやめ)陸さん(18)は「卒業式は写真に残るもの」と、マスクなしでもいいとした。
米沢中央高の石黒孝二教頭は「今後、社会状況が変われば、マスクなしでの入学式なども検討したい」とする。ただ、今年は既に卒業式が差し迫っているため、政府方針にかかわらず、出席者にマスク着用を要請するという。同高3年粟野鷹也さん(18)は「保護者は子どもの顔を見たいと思うので、入・退場時などはマスクなしでもいいと思う」と率直な思いを語った。
山形六中もマスク着用を前提に準備を進める予定。佐藤雄一校長は「できることなら顔を見て送り出したい」とし、「卒業式が迫ってから『マスクなしでもいい』と言われても指導は難しい。方針は早く決めてほしい」と訴えた。山形三中3年荒井のえさん(15)は「マスクなしは正直、恥ずかしい。最後にみんなと素顔で写真を撮れるのはうれしいけど」と打ち明ける。
酒田市東部中も原則、出席者全員がマスク着用とする。生徒会長として先輩を見送る2年真嶌怜惟さん(14)は「学校の判断は理解できる。ただ最後くらいは互いの顔を見て、先輩方の門出を祝いたかった」と語った。
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