黒森歌舞伎、幕や衣装など新調 明治から使用、正月公演で披露

2023/2/6 09:08
新調とともに、現存の物を修復した俵藤太幕(黒森歌舞伎保存会事務局提供)

 酒田市黒森地区に伝わる県指定無形民俗文化財「黒森歌舞伎」の一座・黒森歌舞伎妻堂連中(五十嵐良弥座長)が、文化庁の補助事業で明治時代から使っていた幕を新調し、今年の正月公演(15、17両日)で使用する。新型コロナウイルス禍の影響を受けた伝統芸能を支援する事業で、約4500万円の補助金で衣装やかつらも新調した。

 文化庁の「地域文化財総合活用推進事業」で、コロナ禍で中止となるなどし、伝承する上で危機的な状況となっている伝統行事や民俗芸能を支援する目的で創設された。一座は昨年、黒森歌舞伎保存会事務局の市教育委員会を通して申請し、採択された。

 黒森演舞場の舞台正面で使っていた俵藤太(たわらとうた)幕(縦3メートル、横12メートル)と花道の福助幕(縦1メートル、横12メートル)を新調した。俵藤太幕は1902(明治35)年に、福助幕は1898(同31)年に作られた。近年は傷みや破けた部分が目立っていた。同事業を活用して幕と衣装などを新調したほか、現在の幕とかつら、太鼓、大道具の補修も行った。

 幕は染織家の支援を受け、大型のスキャナーで絵柄を読み取り、プリンターで木綿の布に印刷する手法で2枚ずつを新調したという。1枚は新たな幕として使い、もう1枚は現存する幕の補修用として活用した。かつては手染めで作られたが、現在は同様の大型幕を染める技術を持つ職人がいなくなったという。

 幕などは昨年6月に京都府などに送り、新調と補修の作業が進められていた。事務局の担当者は「新たな幕や衣装、かつらも用意し、3年ぶりの正月公演を迎えられる」と話した。

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