水際対策緩和でインバウンド(訪日客)が増える中、県内のスキー場に海外からの観光客が戻りつつある。海外スキーヤーには、コース外の新雪を滑るバックカントリースキーが人気だが、長野県で先月、雪崩に巻き込まれた外国人が犠牲になる事故が起きた。県内のスキー場関係者は、圧雪されていないコース外は雪崩発生の危険性が高いとし、注意喚起に努めている。
ゲレンデと異なる雪の感触を楽しめるバックカントリースキーに絡み、全国的に遭難事故が起きている。長野県小谷村で先月29日、栂池高原スキー場のコース外で雪崩が起き、巻き込まれた外国人の男性2人が亡くなっている。
山形市の蔵王温泉観光と蔵王策道協会によると、蔵王温泉スキー場は以前からゲレンデ、コース以外を滑走禁止とし、ホームページなどで周知してきた。コースを明示するロープや注意喚起の看板を現在も設置しているが、リフトの下や林の中などコース外で滑走跡が今季も確認されているという。「蔵王スキーパトロール隊は(管理区域の)場外での事案に出動できず、万一の際は救出が遅くなる」と語る。
蔵王を訪れていたベルギー人の夫妻は、5日にバックカントリースキーをしたといい、危険性を認識しつつも「シャベルやラジオなど装備を徹底している」と話した。母国では楽しむ人が一定数おり、珍しくはないとの認識を示した。
パウダースノーで人気が高い米沢市の天元台高原スキー場付近では、吾妻連峰の雪質を気に入り、訪れている外国人グループがいる。「スキー場としては許可できない」と伝えているが、「自分たちの責任でやる」と返されるという。
バックカントリースキーに関する問い合わせが増え、天元台高原スキー場は3年前から、新雪の感触を楽しめる無圧雪ゾーンをゲレンデ内に設けた。2年前には遭難時に請求する捜索費用などを盛り込んだ「天元台ローカルルール」を明示している。同スキー場関係者は「『それでも行くんですか』との抑止の意味を込めている」といい、英語標記版を早期に作成するとしている。
|
|