山形大や酒田市、NTT東日本などは3日、日本海総合病院と連携し、同市日向地区で遠隔診療の実証実験を4月に開始すると明らかにした。機器を搭載した医療カーが地域を回る「医療MaaS(マース)」や、コミュニティセンターを拠点にリモート健康相談ができる環境を整える。多機能な診察が可能になるよう、ソフト開発も進める。
日向地区は高齢化率が高い中山間地域。巡回する医療カーは軽トラックをベースとしたもので、可搬式の遠隔診療システムを積み込む。看護師が運転して地区内のお年寄りらを訪問し、日本海総合病院からリモートで診療する仕組みを想定している。座っただけで血圧や脈拍が計測できる車載用装置も開発中という。
同様の機器や大型モニターを日向コミュニティセンターに配置し、地域住民と病院を結んだ健康相談ができる場所にする。医療分野だけでなく、東北公益文科大が中心となってコミュニティセンターで高齢者と子どもの交流、小中学生の居場所づくり、高齢者の社会参加を進める。
2021年10月から日本海総合病院と松山診療所、飛島診療所をつないだ遠隔診療の実験が進められている。同大の城戸淳二教授が協力し、患者の顔色がクリアに伝わる有機ELディスプレーなどを利用している。
3日の学長定例記者会見で城戸教授は、心拍数や心電図、体温、血圧などの測定機器について、遠隔でも対応できるように多機能化を進める考えを示し、「山形大の技術力を投入したい」と述べた。同席した丸山至酒田市長は、東北公益文科大と連携し学習指導や地域交流を進める構想に関し、「有機ELを活用したスマートコミュニティーの形成ができないかと考えている」と話した。
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