特別国民体育大会冬季大会スケート、アイスホッケー競技会は1日、青森県八戸市などで競技が繰り広げられた。スピードスケートはYSアリーナ八戸で10種目を行い、県勢は成年女子1500メートルで北京冬季五輪代表の小坂凛(KHネオケム・山形中央高出)が1分58秒43で圧勝した。
1500メートルではほかに、成年男子で平昌、北京の両五輪代表の一戸誠太郎(ANA・山形中央高出)が準優勝し、ソチ、平昌の2大会出場のウイリアムソン師円(タカミヤホテルグループ)は5位。成年女子の高橋侑花(大東大・山形中央高出)も5位に入り、少年女子の高橋美生(山形中央高)は8位だった。
5000メートルは成年男子の森野太陽(日体大・山形中央高出)、少年男子の小谷謙太朗と鈴木藍成の山形中央高勢がそれぞれ決勝(12人)に進んだ。2000メートルリレーは成年女子の県選抜(福田琴音、鈴木杏菜、高橋、小坂)と少年男子の県選抜(倉田知悟、高谷楽人、鈴木、小谷)がそれぞれ5~8位を決めるB決勝に駒を進めた。
2日はスピードスケートの最終日で、1000メートル、3000メートル、5000メートル、2000メートルリレーの各決勝が行われる。
ラスト1周、一気にギア
【ヒロイン】強さは別格だった。成年女子1500メートルで頂点に立った小坂凛(KHネオケム・山形中央高出)だ。最後の1周で一気にギアを上げて後続を置き去りにし「ラスト勝負がはまった」。2位以下を寄せ付けない圧勝劇を演じたヒロインの表情にトレードマークの人懐っこい笑顔が広がった。
役者が違った印象だ。「終盤で決着をつけるつもりだった」と序盤は集団の中で戦況を見定めた。勝負のラスト1周で勢いよくコーナーを抜けて首位を奪うと、バックストレートで責任先頭(1回)をクリア。優勝争いの本命は当然のようにトップでゴールを滑り抜けながらも「負けなくて良かった」と、重圧から解放されて胸をなで下ろした。
ナショナルチームで活動し、国体直前までワールドカップ(W杯)後半戦に向けて追い込む選手と同じメニューをこなしていたため「体調はそんなに良くなかった」と本人。それでも2位に1秒超の差を付けての完勝はさすが。切れのあるスパートで後続の追随を許さず、強さばかりが際立ったレースだった。
昨季は北京冬季五輪の代表に選ばれたものの、レース出場はかなわなかった。複雑な思いを抱えながらも「この経験は必ず力になる」と信じて前を向いた。今季は重心の位置や滑走動作が安定せず、苦しいレースが続いた。悩める時期は長かったものの、股関節の動きを意識するなどして感覚は少しずつかみ合いだしたという。飛躍を期す21歳は「またW杯で戦えるよう練習して力を付けたい」と先を見据えた。
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