除雪グレーダもICTの時代 南陽で報道機関向け説明会

2023/1/31 12:23
車両下部のブレードがエンジンの回転数に応じて自動で回転する除雪グレーダ=南陽市鍋田

 情報通信技術(ICT)を活用した除雪グレーダの報道機関向け説明会が30日、南陽市の国道13号赤湯除雪ステーションで開かれた。国土交通省東北技術事務所(宮城県多賀城市)が車体下部にある雪寄せ用のブレード操作を自動化し、車両を操作するオペレーターの負担を軽減した。担い手の確保につなげたいとしている。

 現在、主流の除雪グレーダは、運転とブレード操作を1人のオペレーターが同時に行い、負担が大きい面がある。同省山形河川国道事務所管内のオペレーターは本年度430人おり、うち60歳以上が124人となっていることから、担い手確保も喫緊の課題という。

 こうした状況を踏まえ同事務所は、2020年から開発を始め、エンジンの回転数に応じてブレードが回転する仕組みを構築した。ブレードに一定量の雪がたまると、自動で回転して雪を道路脇に排出し、速度を維持しながら除雪する。通常は習得に5年ほどかかる技術だが、経験が浅い人でも対応できるという。360度見渡せるモニターを搭載し安全性を向上させた。価格は1台約7千万円。

 昨年12月、全国に先駆け南陽市内2カ所に配備し、運用している。本年度末に秋田県内でも導入し、順次全国で台数を増やしていく予定だ。

 説明会では、エンジンの回転数を調整してブレードを動かす試験が行われた。今後は衛星利用測位システム(GPS)を取り入れ、マンホールのふたなどに対応できるようブレードが自動で上昇する仕組みを研究する。同事務所の今野孝親施工調査・技術活用課長は「オペレーターは車両の運転に専念できるようになった。今後も人々を雪から守れる開発を続けていきたい」と話していた。

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