ブラジルとペルーの山形県人会の若者2人が25日、ルーツがある山形市と大石田町の中学生と交流した。海外県人会の担い手育成を支援する県の事業による初の来県で、母国と山形を結ぶ次世代の架け橋になることを誓った。
2人は日系ブラジル人4世の妻沼・襖(ふすま)・ジョアン・ビトルさん(16)と日系ペルー人4世の加藤・マルティネス・キミ・アレハンドラさん(20)。17日に山形入りし、ホームステイなどをしながら27日まで山形の暮らしを体験している。
襖さんの曽祖父は山形市出身で1934(昭和9)年に海を渡った。この日は山形七中で1年生と触れ合い、住んでいるバイーア州や高校を紹介した。花笠踊りの“特訓”を受け、一緒に舞って「楽しかった」と笑顔を見せた。
家で毎日お米を食べている襖さんだが、若い世代は日系人としての意識が希薄化していると感じている。「今回の経験を生かし、山形の同じ世代と交流していきたい。県人会の支部長を務める祖父を手伝う」と語った。
加藤さんは曽祖母の出身地・大石田町にホームステイで滞在した。大石田中で歓待を受け、生徒の寸劇などを観賞し、勉強中の日本語で母国を紹介した。生徒からバケツいっぱいの雪を贈られるサプライズもあり、「一生懸命準備してくれた。すてきな時間をありがとう」と感謝した。
来町して初めて曽祖母の弟の存在を知り「遺影を見て言葉にならないほど感動した」。祖母や昨年他界した父と一緒に来日する夢はかなわなかったが、ルーツの土地を訪れることができ「すごく幸せ」と話した。
県は海外県人会を、本県と現地を結ぶ重要なパートナーと位置付け、20年度から事業を開始した。新型コロナウイルス禍のため20、21両年度はオンラインでの交流だった。
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