山形新聞、山形放送が提唱する「21世紀山形県民会議」が17日、東京・内幸町の日本プレスセンタービルで開かれ、「DX山形-経済再生、コロナの先へ」をテーマに吉村美栄子知事や佐藤孝弘山形市長、県選出国会議員、各界代表が一堂に会し、意見を交わした。出席者は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む経営者ら組織トップの意識改革や、リスキリング(学び直し)を個人任せにせず、成長した人材を正当に評価する仕組みづくりの重要性を確認した。
DX取り組む、各界代表が意見交わす
提唱者を代表し、寒河江浩二山形新聞社長・主筆(山形新聞グループ経営会議議長)があいさつした。持続的な経済成長のためには働く人たちのリスキリングが大切だとし「人々の暮らし方や働き方が大きく変化する新しい時代を見据え、山形の経済をどう再生していくのか。方策について議論を深めていきたい」とテーマを提起した。
これを受け、DX推進とリスキリングについて、11人の出席者が論議した。総務省参事官・慶応大講師で本紙DXアドバーザーの片桐広逸(こういち)氏、後藤宗明ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事がアドバイザーを務めた。
出席者からは、DXに関し、経営資源を他社と相互シェアすることで人材確保や価値のあるサービスにつなげる視点や、効率化や生産性を向上することで人にしかできないサービスに人材と時間を費やすことができるとの提案が出された。成功事例を幅広く共有することで挑戦する企業を生み出すとの意見もあった。
リスキリングについては、実践した人材を評価する仕組みづくりや、若手だけではなくベテランの取り込みが大切だとする発言があった。
片桐参事官は、産学官のコンソーシアムが組織された本県をDXの先進地とした上で「やらされている感覚」ではなく「楽しんで取り組んでほしい」と提言。組織を知る人材の方が、リスキリングを通じた経営変革につながりやすいとの考えを示した。後藤代表理事は、来日前のインバウンド(訪日客)をターゲットにしたデジタル・マーケティングの重要性に触れた。リスキリングは企業の生き残りをかけた事業戦略に結びつくとし、産学官連携による推進組織の設立など五つのポイントを紹介した。
豊かな郷土づくりを目指し、直面する課題について議論を深め、県勢発展につなげる県民会議は48回目。会議の模様は動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ配信した。NTT東日本山形支店の協力を得て、会議の音声データを文字データに自動変換するAI(人工知能)会議録作成支援システムを試行し、取材に活用した。
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