米沢市の小野川温泉で、温泉熱を利用して育てる「小野川豆もやし」の収穫が盛んに行われている。白い湯気が立ちこめる中での作業はこの時期の風物詩で、シャキシャキした独特の食感が人気だ。
温泉が流れる水路の上に木箱を並べて砂を敷き、豆をまいて1週間で30センチほどに伸びる。栽培で重要なのは温度管理で、朝夕に湯気を外に逃がしながら29~31度に保つ。生産者の鈴木巌さん(65)は妻道子さん(61)と一緒に、砂の付いた根を温泉に浸し、丁寧に洗っていた。
冬場の食材として300年ほど前に栽培が始まったとされる。小野川温泉が2度の大火に見舞われた明治時代に、復興を目指して住民が商品化した。熱を加えても失われないシャキシャキ感、豆の甘みと香りが特長で、鍋やおひたし、味噌汁などで食卓に並ぶ。収穫は来年4月ごろまで続く見込む。
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