仮想現実(VR)技術を活用した臨床実習が14日、山形市の山形大医学部で行われ、学生が実際の症例を基に作られたモニター内の3Dモデルに“触れる”ことで、臓器や血管の位置関係などへの理解を深めた。
実習には病理診断学講座を受講する医学科の4年生5人が参加した。肝臓がん、肺がん、脳腫瘍、心筋梗塞の4ケースについて磁気共鳴画像装置(MRI)やコンピューター断層撮影(CT)検査の結果から、VR画像を制作して活用した。
VRゴーグルを着けた学生が、コントローラーを操って臓器や血管を拡大、回転し、手術の妨げとなる大量出血につながる動脈の位置などを確認。スムーズに腫瘍に到達するための手法を考えた。その後、実際に摘出された腫瘍の写真を見て、悪性、良性を診断するなどした。
講座を担当する二口充教授は「これまでは写真や画像といった二次元の情報から、脳内で立体へと再構築する必要があった」と、教材としてのVR画像の有用性を強調した。吉野瑠さん(21)は「実際に患者を目の前にしているかのような感覚で位置関係などを確認でき、大きく理解が深まった」と話した。
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