最優秀に尾形さん(宮内中2年) 南陽・結城記念館の中学生作文

2022/11/28 22:58
鈴木かなえ館長(左)から表彰状を受け取る最優秀賞の尾形輝喜さん=南陽市宮内中

 結城豊太郎記念館(南陽市)の「中学生ふるさとづくり作文コンクール」の入賞者が決まり、最優秀賞に宮内中2年の尾形輝喜(てるき)さん(14)の作品が選ばれた。

 作文コンクールは結城豊太郎の遺徳を学び、地域の良さを発見してもらおうと毎年開催し、8回目。

 入賞の表彰状贈呈は各校で行われ、宮内中では16日に実施。鈴木かなえ館長が「書くことは考えを発信する有用な手段で大きな力。皆さんの作文は体験と主張のバランスが取れていた。次のステージへの大きなステップにしてほしい」などと呼びかけ、尾形さんらに表彰状などを手渡した。

 入賞作は結城豊太郎のひ孫で中央大法学部の青木裕子教授が目を通し、返却した作文に感想を添えた。尾形さん以外の入賞者は次の通り。

 (かっこ内の洋数字は学年)

 ▽優秀賞=相沢光里(沖郷2)漆山璃世(宮内3)

 ▽奨励賞・佳作=落合冴月(沖郷3)

 ▽佳作=遠藤美波(赤湯2)高橋幸花(宮内2)秋保心音(同)

■最優秀賞の全文

最優秀賞の尾形輝喜さん

 僕の家には、物心ついた時から法被(はっぴ)がありました。「南陽市消防団」と書かれています。その法被は、少し色あせていますが、僕にはより一層輝いて見えます。父の消防団法被です。父は南陽市消防団第4分団の団員を務めています。

 消防団はその名の通り、地域で火災が起こったらすぐに出動して消火活動を行います。火災が起きないように、呼びかけと見回りも欠かしません。活動は火災に関してだけではありません。最近は、7月に起こった大雨の時も出動しました。雨の中、通れなくなっている道がないか、危険な場所がないか見回りをしていました。つまり、消防団は地域と地域の人の安全安心を守るために日々活動しているのです。

 僕がまだ小学生の頃、父は消防団の班長もしていました。ある日、いつもの法被姿で「てる、今夜は消防団の夜回りだから一緒にパトロール行くぞ」と僕を誘ってくれました。ポンプ庫という、消防車や防具などが収納された場所に案内されました。今まで赤色灯が点滅している倉庫としか認識していなかった場所です。その内側に案内された僕は、なんだか見てはいけない大人の世界が広がっている気がして、父の陰に隠れて緊張していたのを覚えています。

 中に入ると、同じように法被を着た大人が5名ほど集まっていました。自分が散歩したり、遊びに行ったりした時に、道ですれ違うおじさんや友達のお父さんの姿もありました。いつもはちょっと怖い印象しかなかったのに、その日はみんな笑顔で迎え入れてくれました。

 「おっ、こんばんは。未来の消防団員か」。そう言って、皆さんが歓迎してくれました。その後も続々と団員が集まってきました。汗をかいたまま作業着で参加する人や、「腹が減ったなぁ」と言いながら来る人もいました。皆さん、自分の仕事や用事が終わってから参加できる人が集まってくるようでした。僕は「疲れていてお風呂も入りたいだろうし、お腹も空いていて大変そうだな」と思いながら皆の様子を見ていました。しかし、いざ地域の夜回りが始まると、急に楽しくゆったりとした雰囲気が変わって、真剣に取り組み始めました。すぐ使える状態になっているか消防ポンプの点検をする姿、車に乗って不審なところがないか目を光らせながら呼びかけをする姿など「地域のために責任感を持って仕事をする大人」の姿に憧れ、かっこいいなと思ったのを思い出します。

 さらに、僕も車に乗せてもらってマイクを使って呼びかけをさせてもらうことになりました。自分の声が、町中に響いてとても気持ちいいものでした。地域を回っているうちに「ご苦労さま。こんなに小さいのに手伝ってくれてありがとう。これからもよろしく」と声をかけてくれる人もいました。家族みんな外まで出てきて、笑顔で手を振ってくれる人もいました。

 「消防団って、きつい仕事も多いはずだけど、地域の人達にこんなに愛されているのだな。素敵(すてき)だな」。僕は思いました。そして、消防団として働く父を改めて誇らしく思いました。

 南陽市のホームページに載っている資料によると、令和2年4月時点で南陽市の消防団の数は、62班841人です。市町村合併で南陽市が発足した昭和40年代は、117班1106人だったそうなので、大分減ってしまいました。人々の生活スタイルが変化し、そもそも消防団を引き受けられる人が減ったことや、高齢化により消防団を続けられる人も減っているのだと父から聞きました。

 僕の知っている消防団は、とても楽しそうで笑顔があふれる人達の集まりでした。一方で、僕の知らない消防団は火災や水害の際に、昼夜問わず出動しています。体力も必要だし、危険を顧みず進まなければならない勇気のいる仕事だと思っています。命を預かる責任の重い仕事です。仕事を安全に行うための訓練もしなければなりません。

 しかし父は、「大人になってから熱くなれることって、そうあることではないし、皆で泣いたり笑いあったりできることは、一生の宝になるよ」と教えてくれました。そして、地域の人達に頼りにされるということは、決して悪いことではありません。彼らは、地域の人達に信頼されているし、愛されているのだということを、僕は知っているからです。

 僕は将来、消防団員として活動したいです。そして、あの父の法被を受け継ぎたいと思っています。まだ先の話だし、まだまだ父や消防団の皆さんに地域を守ってもらわなければなりません。それでも、僕は約束します。これからも、地域と地域の人達を守り続け、愛される消防団を、これからの時代も大切にしていくことを。

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]