長井市民文化会館のグランドピアノが、市とつながりのある音楽学者の寄付金で新調された。「障害の有無に関係なく音楽に親しめるインクルーシブな社会づくりに役立ててほしい」との思いで実現。市内の障害者や小中学生らを招いたお披露目コンサートが27日開かれた。
寄付したのは、音楽の歴史などを研究する元東京芸大特任教授の滝井敬子さん(75)=東京都品川区。2006年、ドイツ・バートゼッキンゲン市が舞台のオペラ「ゼッキンゲンのトランペット吹き」の日本初演を、姉妹都市の長井で開くきっかけとなった人物だ。
ピアノ「スタインウェイフルコンサートグランドピアノD―274」の購入費として約2700万円を市に寄付した。購入前の試し弾きには、ピアニスト佐野隆哉さんが参加し、3台の候補から1台を選定。新しいピアノを目覚めさせる「弾き込み」には地元の音楽教室の生徒など老若男女100人以上が参加した。
コンサートは招待制で、市内の障害者施設利用者を含む約400人が来場。佐野さんがベートーベンのピアノソナタ「熱情」など4曲を披露した。
滝井さんは今後、アドバイザーの立場から公演の企画などに携わり「障害のある妹がいることが、インクルーシブに対して熱心な理由でもある。長井ならではの公演が実現できるよう、力を貸してほしい」とあいさつした。
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