米坂線、長期運休へ・8月豪雨被害 JR東、全容把握至らず

2022/11/23 10:34
豪雨災害から3カ月以上が経過しても停車したままの車両。線路に生えた雑草も冬色に変わった=22日午前8時45分、小国町・JR羽前沼沢駅

 8月の豪雨に伴い今泉-坂町(新潟県村上市)間の運休が続くJR米坂線について、管轄するJR東日本新潟支社の小川治彦支社長は22日の定例会見で「被害の全容把握に至っていない」と現況を説明、発生から3カ月半が経過しても復旧の見通しが立っていないことを明らかにした。長期運休は避けられない状況だ。

 会見は新潟市の同社ビルで開かれた。小川支社長は今後の見通しに関し、「具体的な被害規模が明らかになっておらず、復旧時期や費用に関しては申し上げられない」と強調。一方で、具体的な額の基準などは明らかにせず、あくまで一般論と前置きした上で「復旧費用が巨額になった場合は、沿線自治体と協議する」との考えも示した。

 同時期の豪雨で被災したJR磐越西線(福島県郡山市-新潟市)について、同社は運転再開を来年春と見込み、復旧費用は総額15億円と算定している。米坂線については「磐越西線よりも間違いなく被害の規模が大きい」との見方を示しており、工期や費用は磐越西線を大きく超えそうだ。

 現時点で線路の土砂の撤去作業は行われているが、本格的な復旧工事は始まっていないという。被災直後から小国町の羽前沼沢駅で停車したままになっている列車2両については今後、今泉駅で今月20日に実施したのと同様に、トレーラーなどで別の場所へ運び出す予定という。

「やっぱり米坂線で通いたい」復旧待ち望む高校生

近くの斜面が崩れ線路に土砂が流入していた=22日午後2時54分、新潟県関川村

 今年8月の豪雨から一部区間が止まったままのJR米坂線は、小国町内に住む高校生にとって貴重な通学手段だ。被災から3カ月半余、運休する今泉-坂町(新潟県村上市)間を走る代行バスも長期化が予想される。降雪期も目の前に迫り、利用する生徒は「やっぱり米坂線で通いたい」と復旧を待ち望む。

 長井市の今泉駅から、フラワー長井線へ乗り継いで通学する長井工業高1年佐藤弾さん(15)は、入学から約4カ月しか米坂線に乗れず「列車の中で友人と集まって話す時間が楽しかった。もしかしたら今後、一度も乗ることができずに高校生活を終えるかもしれないと思うと寂しい」と話す。今のところ、代行バスに不便は感じていないが「雪の中でも時間通り走れるだろうか」と、冬季間の運行を不安視する。

 川西町の置賜農業高に通う3年佐藤風馬さん(17)は「朝は川西町の羽前小松駅まで直接輸送するバスがあり、大きな不便は感じないよう考慮してくれている」と感謝する一方、「自分が進学する高校を考える上で、米坂線の存在は必須だった。中学1年と小学5年の弟がいるが、復旧の見通しが全く立たないとなると、2人が進学する時はどうなるか心配だ」と語った。

被害112ヵ所、磐越西線の9倍

 JR東日本新潟支社などによると、8月3日の豪雨で米坂線は、本県と新潟県の計112カ所で被害を受けており、同時期に被災した磐越西線(福島県郡山市-新潟市)の被害箇所(12カ所)の約9倍に上ることが分かった。

 被災した112カ所のうち本県側が68カ所に上り、約6割を占めている。中でも、飯豊、小国両町をまたぐ羽前椿-羽前沼沢間が43カ所と集中している。飯豊町の小白川に架かる小白川橋梁(きょうりょう)が崩落したほか、線路に土砂が流入するなどした。他の区間でも、線路への倒木や盛り土の流出などが確認されている。

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