がんと共に働ける職場へ NPOと西村工場(山形)、セミナー全国初開催

2022/10/7 14:57
がんと仕事の両立支援に何が必要なのか考えたセミナー=山形市

 がんは日本人の2人に1人がかかり、患者の3人に1人が就労年齢で罹患(りかん)する一方、治療法の進歩で治る病気、長く付き合う病気に変わった。がんと共生する時代に、働き続けられる環境づくりを考えるセミナーが6日、山形市の山形商工会議所会館で開かれた。白血病の“サバイバー”の県内経営者の事例発表もあり、従業員を大切にすることで企業の成長につなげる視点が紹介された。

社員を大切にする姿勢、業績にプラス 

 NPO法人日本がんサバイバーシップネットワーク(東京)と、急性骨髄性白血病の闘病経験のある島藤諭完さんが代表取締役CEO(最高経営責任者)を務める製造業・西村工場(山形市)が全国で初めて開催した。企業・行政関係者、闘病経験者、家族など約100人が参加した。

 多くの患者の治療が日帰りになったが、診断後に3~4人に1人が退職しているという。基調講演で高橋都同法人代表理事は「がんは治療しながら働く『慢性病』になりつつある」と解説。企業側には、同じがんでも個人、時期で症状は異なり、治療が飛躍的に進歩しているとし「過去の経験にとらわれ過ぎず、本人の状況を聞き、どんな仕事ができるのかを変化に応じて考え続けなければならない」と助言した。がんの体験が、自分の仕事や自社製品の意味は何か考えるきっかけになり、社会人としての強みになることがあるとも指摘した。

 老舗書店を経営再建したこともある小島俊一同法人理事は「人材不足の課題が深刻な中小企業ほど社員を大切にしなければ将来はない」と整理。社員を大切にしてモチベーションを上げることで業績が伸びると説明した。パネルディスカッションでは「制度よりムード、仕組みより対話が重要」などの意見が出された。

「お互いさま」の気持ち醸成―“サバイバー”島藤さん、自社取り組み紹介

 島藤さん(50)は自社の取り組みを紹介した。社員29人のうち現在4人が「がんサバイバー」として就業制限なしで働いているという。社員とのコミュニケーションを重視し、全社員に面接。1人に2~3時間をかける面接も3年続けた。日常的に現場に出向いて話を聞き、社員の状況を把握する。45歳以上の全員が会社負担で人間ドックを受診できるなどの制度を整えたが「特別なことはしていない。お互いさまの気持ちをどれだけ社内に醸成できるかが重要」と話した。

 がん経験者の立場からも「普通に暮らし、働き、接してほしいと思うサバイバーは多い。辞職の選択は最後までさせないでほしい」と呼びかけた。この問題について「社会全体で取り組む必要があると実感し、今日も生きている」と語った。

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