米ぬかから代替肉 山形大・渡辺教授ら世界初

2022/10/7 11:17
脱脂米ぬかから抽出したタンパク質を原料に作られた代替肉(渡辺昌規山形大教授提供)

 山形大農学部の渡辺昌規教授(バイオマス資源学)などは6日、脱脂米ぬかから抽出したタンパク質を原料に、代替肉の製造に成功したと発表した。世界初の技術で、大豆由来と同質の食感を実現した。代替肉は昨今注目を集めており、米ぬかを使うことで稲作の収益性向上につながるとの期待がある。

高タンパク化、既存食品添加も視野

 脱脂米ぬかは、米油を抽出する際の副産物として大量に発生する。ミネラルを含んでいるが、活用は飼料などに限られていた。渡辺教授は2018年、食品産業機械のサタケ(広島県)と共同で、脱脂米ぬかから高濃度タンパク質を抽出・精製する技術を開発し、特許を取得。抽出物は固形状で、代替肉への展開を着想した。

 つなぎとなる多糖類と油を加えることで、市販されている大豆由来の代替肉と同等の弾力、ジューシーさを持たせることに成功した。色素を加えなくても、見た目は本来の肉に近い。硬さや香りは製造過程でコントロールでき、消費者ニーズに合わせることが可能になる。何も手を加えないと、コメの風味を感じられるという。

 米ぬかタンパク質は食物アレルギーの原因となる「アレルゲン」を含まず、安全性の高さも特徴とされる。代替肉のほか、サプリメントや既存の食品に添加して高タンパク化させるといった活用法を視野に入れ、2年後の実用・事業化を目指している。

 渡辺教授は代替肉原料の新たな選択肢として、脱脂米ぬかの付加価値を高めることを目指す。「白米のみを作る稲作から、白米とタンパク質を生産する稲作に転換させる。収益性を高めることで持続可能な農業につながる」と話している。

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