ケヤキ並木、樹勢ピンチ 酒田・山居倉庫

2022/8/18 12:06
観光客の利便性向上を図って敷かれた石畳などの影響で、樹勢の衰えが懸念されているケヤキ並木=酒田市・山居倉庫

 山居倉庫(酒田市)のケヤキ並木について近年、枝葉の減少などの樹勢衰退が目立っている。倉庫は昨年国指定史跡となり、米どころ庄内の歴史を伝える施設として、適切な保存活用を図るための計画策定が進む。並木は歴史的価値の保存と観光誘客の両面で重要な資源で、専門家は「樹木は生き物。倉庫の保存・改修に先んじて、一刻も早く樹勢回復の対策を講じるべきだ」と警鐘を鳴らす。

石畳が生育阻害/専門家「対策早急に」

 山居倉庫は1983(昭和58)年度放映のNHK連続テレビ小説「おしん」の舞台となって注目され、新型コロナウイルス感染拡大以前には年間80万人以上が訪れた。ケヤキ並木は景勝スポットとして、観光客に人気が高い。風と西日を防ぐ目的で、倉庫が建てられた1893(明治26)年前後に植えられたとみられ、現在は36本が残る。

 市は樹勢が衰えてきたことを受け、2014年度に根の張り方や幹の生育状況、土壌状態などを調査した。調査に協力した樹木医で、山居倉庫保存活用計画策定委員の渡部佐界(さかい)氏=同市、庄内園芸緑化会長=は「観光客の利便性向上のため敷かれた石畳と、植える間隔の狭さが、順調な生育を阻んでいる主な要因だ」と分析する。

 石畳はおしんブームによる来訪者の大幅増を受け、1989年に設置された。渡部氏は「石の重みに加え、周囲の土も長期間にわたって踏み固められたことで、根に水や酸素が十分に行き渡らない土壌状態となっている」と指摘する。石畳は以前一部が撤去されており、渡部氏によると、そのエリアのケヤキは一定程度、樹勢の回復の傾向が見られるという。

 一方、ケヤキの植栽は樹木間を10~15メートルほど空けるのが適当とされるものの、倉庫の場合はおおむね5メートル間隔。成長によって2本の木の枝が重なってしまっている状態も確認された。周辺の景観維持や、歴史的価値保存の観点から、一部伐採による対応は現実的ではなく、しっかりと剪定(せんてい)を行い、互いに干渉しない樹形へ整えるといった方法が考えられるという。

 渡部氏は「ケヤキの樹齢は150年程度で、まだまだ成長途上。どんな対策を講じるにしても、資金と時間が多くかかるだろう。早急に調査・検討を行い、倉庫の保存活用とは別に、樹勢回復に向けた計画を練る必要がある」と強調する。

 市は来年度に倉庫と敷地の取得を予定し、ケヤキの樹勢回復措置については、翌2024年度にも着手したい考えだ。社会教育文化課の担当者は「まずは石畳の撤去を最優先で行う。歩行者への配慮として、ウッドデッキの設置や、土壌改良効果のあるウッドチップを敷き詰めるなどの代替案を検討する」としている。

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