無念、60年住むわが家が床上浸水 飯豊・黒沢で1人暮らしの渡辺さん

2022/8/10 08:35
1人暮らしの自宅が床上浸水した渡辺君子さん。「悲しいけど、この家には住み続けられない」=飯豊町黒沢

 置賜地域などが甚大な被害に遭った豪雨災害は、10日で1週間となる。飯豊町黒沢の渡辺君子さん(85)は現在も避難生活を強いられている。60年以上住む自宅は床上浸水し、「悲しいけど、もう住めない」。避難や家の片付けに協力してくれた近隣住民やボランティアに感謝しつつ、空っぽになったわが家を眺め、無念さを募らせた。

「悲しいけど、もう住めない」 

 夫が亡くなって以来、長らく1人暮らし。3日午後5時ごろ、激しい雨により自宅の前は「川みたいだった」。心配して地域を見回っていた旭地区長の渡部忠善さん(60)に促され、車に同乗して最寄りの避難所である町民総合センターあ~すへと向かった。

 しかし、施設周辺の道路は既に冠水しており、JR米坂線の椿踏切付近で車が動かなくなった。みるみる水位は上昇し、車内にも水が浸入。「足首まで水が来た」と振り返る。渡部さんは膝まで水に漬かりながら、君子さんを背負って近くの小高い場所まで何とか移動。通報を受けた消防署員から救出され、中部地区公民館へと避難した。

 激しい雨がやみ、君子さんが後日自宅に戻ると、夫の曽祖父の代から続く築150年以上の木造家屋は、床上約20センチまで泥水に漬かり「全部だめになっていた」。幸い、この家の女性が代々受け継いできたというべっ甲のくし、かんざしは無事だったが、家財のぼぼ全てを処分せざるを得なくなっていた。床板を剥がして床下を乾燥させているが、横浜市から駆け付けた長男由喜夫さん(61)は「住めるようにするのは難しい」と肩を落とす。

 避難所暮らしに不便はなものの「今でも夜中に起きてしまう」と不安をにじませる。9日に町内の福祉施設に移り、避難所は閉鎖された。今後の住まいとして、長井市の老人ホームへの入所も決まったという。「住む場所が決まってよかった。でも、心が落ち着くまでは時間がかかりそう」と心境を口にした。

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