全国高校総合体育大会(インターハイ)第8日は4日、徳島県の鳴門ポカリスエットスタジアムなどで9競技が行われ、カヌーの男子スプリント500メートルでカヤックペアを佐藤仁法・押野優太(谷地)、同フォアを谷地(佐藤・押野・荒木啓佑・設楽大樹)がそれぞれ制した。陸上の男子やり投げは清野康介(山形商)が3投目に64メートル93をマークして頂点に立った。
カヌーはほかに女子カヤックフォアの谷地(鈴木葉月、鈴木紅葉、橋本碧唯、阿部未侑)が2位。同シングルの鈴木葉(谷地)、同ペアの鈴木葉・鈴木紅(同)はともに3位だった。カナディアンシングルはオープン種目の女子で荒木詩月(同)が4位に入り、男子は安部神維(同)が5位だった。卓球女子団体は山形城北が2回戦で敗れた。
男子カヤック「ペアで勢い、気合のフォア」
- ハイライト -
強い結束力を見せての戴冠だ。谷地はカヌーの男子スプリントで2種目を制覇。接戦のペアを制した勢いそのままに、終盤までもつれたフォアも一丸で勝利をつかんだ。
先に行われたペアのこぎが「チーム谷地」を加速させた。佐藤仁法と押野優太だ。残り150メートルほどで2チームほどが先行。それでも焦りはなかった。息の合ったパドリングでぐんぐん前へ。「今までの大会では終盤にスピードが落ちていたのに、今日は上げられた」と佐藤。本人たちも目を丸くするほどの加速だった。ゴールした瞬間に勝利を確信し、雄たけびを上げた。「よっしゃー!最高」
この日のシングルで佐藤は準決勝敗退。気持ちが沈んだがすぐに「ペア、フォアで絶対優勝」と切り替えた。一方でペアの押野も「佐藤は疲労もあるだろう。俺が引っ張る」と心に決めていた。レース後は互いの奮闘を「ナイス」とたたえ合った。
体を休める間もなく次のフォアへ。炎天下で気力、体力の勝負でもあったが、メンバーは優勝を信じて疑わなかった。準決勝で力みから失速したこともあり、押野は「いつも通り」「リラックスしよう」。自分たちの力を信じていたからこそ、仲間に何度も声を掛け続けた。
後ろの設楽大樹、荒木啓佑の2年生コンビは「疲れている先輩を全力でサポートする」と気合を入れた。ペアのレースを見届け、先輩のこぎが全国トップだと改めて感じた。だからこそ「あとは先輩の背中を押すだけ」。中盤でペースを落とさずに先頭をうかがい、得意の終盤で一気に前へ躍り出た。
ゴール直後に押野、佐藤が雄たけびを上げ、それを見た設楽、荒木も優勝を確信。4人は互いにタッチをかわし、喜びを分かち合った。「チーム谷地」としての貢献や信頼が大きな結果へとつながった。
女子・K4「混戦抜け出し、谷地2位」
ラスト200メートルほどで推進力が増し、2位に躍り出た。カヌー女子カヤックフォアの谷地(鈴木葉月、鈴木紅葉、橋本碧唯、阿部未侑)は狙っていた後半勝負が奏功。会心のレース運びだった。
スタート前に展開を確認した。「出だしで前に出よう。風のない所で前に出よう」。鈴木葉が声を掛けるいつものルーティン。全員で心を一つにした。
レース中は仲間とパドリングの息を合わせることに集中した。掛け声はないが、心は一つ。苦しい勝負の終盤では「前を行くチームについていこうと必死だった」と橋本。3年生としてこれまでの思いを全てパドルに乗せた。
2位争いの混戦を終盤で抜け出し、3位に3秒差をつけてゴール。先行した実力校の宮崎商相手にも、最後まで追いすがった。「得意の最後の伸びを出せて満足のいくレース。楽しかった」と阿部。鈴木紅は「勝てなかったことが悔しい」と素直な思いを口にした。
互いに気付いたことなどを何でも言い合い、より良いこぎを目指してきたチーム。自分たち自身がその伸びしろに大きく期待している。鈴木葉は「国体でもチャンスがある。リベンジをしたい」と力強かった。
女子K1・K2「驚き、喜び、姉妹3位」
カヌー女子カヤックシングルは鈴木葉月(谷地)、ペアは鈴木葉・鈴木紅葉(同)が堂々の3位。姉が意地を示し、姉妹が息を合わせ、それぞれの表彰台をつかんだ。
シングルのゴール直後、左手で顔を覆った鈴木葉。喜びの余り笑顔が止まらなかったという。「6位以上ならいいと思っていた」と言い、驚きの結果だった。
終盤で風が弱まるというコースの特徴を感じ取っていた。「徐々に攻めてラスト勝負だ」。序盤の先頭争いから、中盤で他の選手が並んできても「また前に出れば大丈夫」と冷静だった。最後に加速してゴール。横を見ると、そこまで競っていた周囲の選手がいなかった。表彰台を確信しての笑顔だった。
続くペアでは妹の紅葉と息ぴったりのレースを見せた。練習では互いに言い過ぎることもあるというが「最後まで姉を信じてこいだ。姉妹の力」と妹。心を一つにして3位でフィニッシュし、2人で喜びを爆発させた。
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