県外在住の学生に地元の味を届ける南陽市の「食でつなぐ、故郷未来プロジェクト」の発送が6日、始まった。今月1日の申し込みスタートから5日間で昨年度実績の4割を超えるなど滑り出しは順調という。学生時代に地元から送られてきた食品は忘れられない存在だ。県外に進学し卒業後に地元に戻って就職しない若者の増加が問題となっている中、同市は郷土愛の醸成、Uターン促進に向け、古里の味で学生の胃袋をつかむ。
プロジェクトは新型コロナウイルス感染症の影響を受けている同市出身の学生に対し、「故郷の食」を通じて支援することなどを目的に2020年度にスタートした。当初は県との共催だったが、21年度から市独自事業となっている。提供する支援品の内容は▽南陽産つや姫(5キロ)▽南陽グルメセット(ラーメン、サラミなど)▽スイーツセット(焼き菓子やバウムクーヘン)―から選択する。
市によると、同市出身の若者が選ぶ県外の進学先は宮城、新潟、東京、福島の4都県が多いという。南陽市に限らず置賜地域では若手人材の県外流出が問題となっている。市は慣れ親しんだ地元の味を活用し、若い世代と地元との結び付きを強め、将来的なUターンの促進、関係人口の拡大につなげようとしている。
本年度はナウエル、エヌ・ケー・フローリスト、本多建設、ネクスト環境コンサルタント(以上米沢市)、ハイテックシステム(山形市)から寄せられた企業版ふるさと納税を活用した寄付金を事業費の一部とした。1日から、無料通信アプリ・LINE(ライン)の市公式アカウントを通じた申し込みが始まったが、5日現在で108件の申請があり、昨年度実績242件の45%に迫る勢いだ。
本年度1回目の発送セレモニーには白岩孝夫市長や協賛企業の代表らが参加。運送を担当するドライバーに支援品を手渡した。
市みらい戦略課は「アンケートなどを通じ、県外にいても故郷のまちづくりに関わることができるようになったし、こうした若い人たちの思いが施策にも反映されている」としている。
申請受け付けは31日まで。問い合わせは同課0238(40)0248。
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