山形のZ世代と選挙(上) 政治に消極的?

2022/7/5 10:44
若い世代の投票率アップには、候補者の若者に響く訴えが必要と語る山形大の佐藤悠里さん(右)と及川瑠莉さん=山形市・山形大小白川キャンパス

 1990年代後半から2000年代に誕生し、生まれたときからデジタルが身近な「Z世代」と呼ばれる若者たち。アナログ世代の中高年層の多くはZ世代を「政治への関心が低い」と見る傾向が強い。本当にそうなのだろうか。山形のデジタル世代とアナログ世代が若者と選挙、政治を語る。

 「若い世代に響く主張をしないと、若者の投票率は上がらないと思う」。山形の魅力を伝える山形大フリーペーパーサークル「Y―ai(ヤイ)!」のメンバーで、山形市に暮らす佐藤悠里さん(21)=地域教育文化学部3年、福島県郡山市出身=と及川瑠莉さん(20)=同、仙台市出身=は候補者に問い掛ける。

 18歳になってから全てではないが投票所に足を運んできた。その2人が高い関心を持っているのは「ジェンダー平等や子どもの貧困」、そして「子育て支援や女性の働きやすい環境」だ。一部の項目は今回の選挙の争点とも重なるが、候補者が声を大にして訴える内容は高い年代向けが多く、自分たちの関心とのずれを感じている。

 選挙や政治の話題に触れるのは主にSNS(交流サイト)やインターネットニュースで、興味を持てば深掘りする。年配者が言うように政治に関心が「ないわけでない」。ただ政治家の声が届いていないだけ。選挙の時だけ「SNSで発信する」と言われても…。「政治家が普段から目に留まる発信をしていれば若者に届くのでは」と佐藤さん。

 及川さんは政治家と高校生、大学生が交流することの重要性を指摘し「若い世代の考えを知ることができるし、若者も議員の活動や政治と自分の生活の関わりが分かれば選挙に行きたくなる人が増えるかもしれない」と考える。

 公益財団法人明るい選挙推進協会(東京)が21年に全国の18~29歳の年齢から無作為に選んだ3150人を対象にした意識調査では政治に「非常に関心がある」「関心がある」と答えた割合は前回09年調査から7ポイント低下したが50%を占めた。本県の18、19歳の投票率は17年衆院選が47.24%で全国トップ、19年参院選と21年衆院選も36.83%、48.58%と全国平均(抽出調査)を上回っている。

 新庄東高3年の佐々木響己さん(18)=新庄市=は毎回投票に行く親の姿を見てきたこともあり「行ってみようかなと思っている」。一方で「ニュースを見ても訴えていることが多過ぎて選挙期間だけでは候補者の考えは分からない」というのが正直な思いだ。

 「私生活上の好みなどから政治の世界で実行力があるかを判断したい。好きな食事など自分との共通点が見つかれば、重視している政策に目を向けるきっかけになるのではないか」とも話す。候補者にはSNSを活用した趣味など日常の発信を期待する。

 探究学習の一環で、米沢市に対する政策提言などを行っている九里学園高3年の遠藤大聖さん(18)と佐藤航河さん(18)=ともに米沢市=は「農業政策など、授業で調べた内容に関係する候補者の訴えを新聞やテレビで目にした。選挙権を得たこともあり、興味が深まった」という。2人は「まず投票に行くと興味を持つはず。行くことに意味がある」と語る。

 遊佐町の中高生が若者目線でまちづくりを考える「少年議会」で、少年町長を務めた東北芸術工科大2年の斎藤愛彩さん(20)=山形市=は「若者が真剣に声を上げても、政治家には届いていないと感じている人が大半だ」と指摘する。

 SNS以外にも高校や大学で冊子を全員に配布するなどして、若者の手元に現在の政治の情報が行き届く取り組みを提案する。ジェンダー平等の施策を重視し、一票を投じる斎藤さんは「政治に自分たちの意見がもっと尊重されるようになれば選挙に行く若者が増えると思う」と強調した。

【Z世代】 価値観や消費行動の特徴によって世代を区分したマーケティング分野の用語。米国の区分では、60~70年代に生まれた世代を「X世代」、80~90年代半ばに出生した世代を「Y世代(ミレニアル世代)」と呼び、それらに続く1990年代後半から2000年代生まれを指す世代として名付けられた。生まれた時代にはインターネットをはじめとするデジタルが主流となっている最初の世代でもある。

2022参院選

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