参院選・争点の実情(2)少子化、子育て支援 家庭は多様、皆に届けて

2022/6/30 13:36
子育て支援施設で遊ぶ親子連れ。少子化を解消するため幅広い子育て支援が求められている(写真は本文と関係ありません)

 「幼保無償化などの国の対応はありがたい。なにせ、子どもは、お金がかかるから」。会社員の夫、幼稚園の長女(5)と山形市内で暮らす女性(44)はしみじみと口を開いた。だが、現状で十分かと言われれば…。「社会人になるまで長いから」。これからも医療費や特に教育費がのしかかる。兄弟が増えれば、負担は増す。だからこそ「持続可能な子育て支援を期待したい」と訴えた。

 日本政策金融公庫の昨年の調査によると、高校入学から大学卒業までにかかる入学費や授業料、習い事、交通費などの教育費用は平均942万円。現状では所得格差が教育格差につながってしまう。2020年4月に大学無償化法が施行され、低所得世帯でも以前と比べ、進学機会は広がったが、進学までに必要な学力を付けるには多くの場合、学校以外に塾や教材など一定の費用がかかる。

 ウクライナ情勢などで、あらゆるものが値上がりしている。「働いて少しでも生活の足しにしたい」。女性は今、サクランボ収穫のアルバイトをしている。「第2子、第3子を望んでも金銭的な理由で諦めている家庭は多い」と女性は言う。少子化対策は多岐にわたるかもしれない。その中で女性は「教育費の平準化が前進すれば、今より子を産み、育てたいと思う人が増えるのでは」と語った。

 子育て家庭といっても多種多様だ。県によると、県内のひとり親世帯は20年国勢調査で9718世帯で、一般世帯の2.4%となっている。この中で、置賜地域の公務員男性(49)は6年前に妻を亡くした。高校1年の長女(15)、中学1年の次女(12)を育てるシングルファーザーだ。

 午前5時半に起床し、長女の弁当作り。姉妹を学校に送り出す。職場には子どもが帰宅する午後6時ごろまで帰れるよう配慮してもらっているが、遅くなる日もある。「娘たちが小学校入学前に今の状況だったら、正直厳しかった」と振り返る。

 男性は延長・夜間保育や土日の託児機能の重要性を訴える。仮に死別や離婚したとしても子育てと仕事が両立できる体制が整っていれば、将来への不安を少しでも減らすことができるからだ。男性は「現状では保育や託児の支援が自治体の規模などにより左右されているように感じる」と話す。偏りをなくすため国の役目は十分な財政支援などが挙げられるのではないだろうか。

 寒河江市内で3児を育てるシングルマザーの女性(33)は同じく子どもの預かり体制の充実を求める。現在、三つの仕事を掛け持ちしており、父は祖母の介護に追われる状況。「子どもの学校行事など、仕事以外の用事があるときに下の子の預け先がない」と嘆く。自分のような境遇の人はもっといると指摘し、国が旗振り役となり、預かり要件が緩和されるような仕組みを求めている。

 2021年に生まれた赤ちゃんの数(出生数)は81万1604人(概数)と、6年連続で過去最少を更新。新型コロナウイルスの影響で、妊娠を控える動きがあったことも影響したとみられる。本県は初めて6千人を下回った。少子化が進むと、社会保障の担い手不足に拍車がかかる。

 2023年春にはこども家庭庁が創設される。NPO法人やまがた育児サークルランドの野口比呂美代表は「子育て支援は年齢で区切れない。こども家庭庁が、発達途中の段階にある子どもを家庭まるごと支援するという仕組みになり、スタートラインに立ったという感じがする。財源をしっかり確保し、皆に届くような政策が必要」と指摘する。

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