参院選県区、集票のシナリオ(中) 大内陣営(自新)

2022/6/30 12:35
茂木敏充幹事長(前列左)ら党幹部を次々と送り込み、空中戦を仕掛ける自民党。右は大内理加候補=24日、新庄市

 「相手(舟山康江)の背中がはっきり見えてきた。政権の安定には全国32の改選1人区での勝利が重要で、最も大切なのがこの山形だ」。公示(22日)から2日。新庄市内の街頭で自民党幹事長茂木敏充が聴衆にこう訴えかけた。

 隣にはわずか1カ月前に党が公認したばかりの大内理加の姿。公示日を挟み、次々と党幹部が県内入りし熱弁を振るい続けている。「数ポイント差に迫ってきた」。先行する舟山の背に迫ってきたと強調する弁士の言葉には、何とか、もう一段熱気を高めたいとの思いがにじむ。

 県選挙区(改選数1)の擁立過程で擁立論と不戦敗論で揺れた自民。大内の決断から投開票日まで残された時間はわずか。曲折を冷ややかに見る向きもある支持基盤のムードをいかに高めるか。「大内は火中の栗を拾う覚悟で決断した。短い準備期間だが、一貫して擁立を目指した県連の覚悟も試される」。県連幹事長の森谷仙一郎はこう強調する。

 戦術は限られる。岸田政権の高い支持率を追い風にした政党色を前面に出した戦いが、その一つ。大物を続々と投入する空中戦が象徴で、公示前の18日は首相岸田文雄が駆け付け、公示後も茂木や政調会長高市早苗ら党幹部が県2、3区に次々と来援した。浮動票の取り込みが狙いで、党関係者は「1区は大内の地盤である山形市があるが、2、3区は浸透が課題。積極的なてこ入れが必要」と語る。

 より重要なのは、自民ならではの分厚い組織力をどう機能させるか。支援組織に名を連ねた29市町村長のほか、県議、市町村議らの後援会をフル回転させ、支援企業などを積極的に回り、支持を取り付ける“どぶ板”に徹し、逆転へのろしを上げたい考えだ。陣営関係者は「急ごしらえの陣営だけに足腰が盤石ではない。名ばかりの支援は許されない」と足で稼ぐ戦術を重視する。

 選対本部長の県連会長遠藤利明(衆院県1区)は「企業、団体から推薦を出したいという声を多く頂く。知事選では見られなかった反応」と手応えを感じ始めている。第一声後の遊説は中小企業がひしめく山形市流通センターを縫うように走るなど、政権与党として経済界を強く意識した運動を展開している。

 参院選で2連敗を喫し、議席奪還を狙う自民。陣営はロシアのウクライナ侵攻による物価高対策、安全保障・外交など山積する課題を挙げ、政権与党でなければ現実的に政策を立案、実現できないと繰り返す。一方、国民民主党幹部の舟山は2022年度政府予算案で賛成に回るなどしたため、野党の共闘態勢は揺らいだ。自民県議は「自ら野党と言っているが、今回は正面切って与党を批判できる立場ではない。公示後、政権批判を強めたのは焦りの表れ」と冷ややかに見る。

 陣営幹部は自らに言い聞かせるように言った。「まだまだ地域や議員によって運動量に差がある。その分だけ伸びしろはある。組織ががっちり機能すれば、必ず逆転できる」

(文中敬称略)

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