参院選県区、集票のシナリオ(上) 舟山陣営(国現)

2022/6/29 12:50
個人演説会に臨んだ舟山康江候補。政権批判を強め、芳賀道也参院議員(左から2人目)らと「草の根」を呼びかける=26日、山形市

 参院選県選挙区(改選数1)は、政治団体「参政党」新人の黒木明(48)、国民民主党現職の舟山康江(56)、共産党新人の石川渉(48)、NHK党新人の小泉明(51)、自民党新人の大内理加(59)=公明党推薦=の5候補が熱戦を繰り広げている。候補者擁立を巡る自民の迷走と野党分断の渦中で突入した参院選。各陣営は足場固めに腐心し、有権者の期待を取り込もうと必死だ。比例代表との連動性を含め、それぞれの思惑に迫る。(文中敬称略)

 非常に厳しい選挙だ―。公示から3日目の24日夜、南陽市内での個人演説会で、舟山陣営の総合選対本部長・長沢豊は壇上から語気を強めた。擁立から1カ月足らずで急速に近づく自民党候補の足音。首相岸田文雄を筆頭に自民側は次々と党幹部らを投入する。「相手は自民。この戦い、勝負は6月で決まる」。切迫する情勢に、長沢は陣営内を急速に引き締めようと躍起になった。

 通常国会が閉幕した15日から、事実上の選挙戦がスタート。県選挙区の改選1議席を巡る攻防は激しさを増した。候補者擁立から間もない自民は積極的な空中戦を仕掛け、18日の岸田をはじめ、公示後も続々と党幹事長らが県内入りしている。“織り込み済み”だった舟山陣営だが「戦っている相手は、大内ではない」と自民の組織力に警戒する。

 舟山は、抑えてきた政権批判を前面に打ち出すようになった。「菅(義偉)政権とそれに続く岸田政権は検討、検討、検討。検討はもうたくさんだ。全く決断しない、財政出動もしない、税金も下げない。今こそ決断する時だ」。公示日の第一声で政府の経済対策の遅れを指摘し、野党の立ち位置で選挙戦に臨む決意をにじませた。

 2016年参院選に無所属で出馬した舟山は、野党勢力の結集を原動力に返り咲きを果たした。改選期を迎えた今回は国民民主党から立候補。国民は22年度政府予算に賛成するなど自公政権に近づき、燃油価格高騰対策などで政策協議を進めてきた。

 公示前、舟山は協議を通じた政策実現の成果をアピールしてきた。その反動で、不信感を持った共産党が候補者を擁立。協力関係にある立憲民主党県連内にも支持行動で温度差を生んだ。置賜地域の後援会関係者は「左派は離れ、前回に比べて(支援は)難しくなっている」と吐露する。

 疑念を投げかけられるたび、舟山は自らを「野党の立場」と強調したが、政権批判は抑えてきた。だが、公示と同時に封印を解いた。現政権を「上からの政治」「中央の圧力」と位置付け、「今の政治を変えよう、そう思った皆さんが弁士となり、声を広げていただければ、大物(弁士)なんて目じゃない」などと草の根の広がりで対抗する姿勢をあらわにする。

 自民候補との対決で、わだかまりの解消に向けた気配が漂い始めた。自民に議席を明け渡す事態は避けたい―との思いは、県内野党勢に共通する。国民所属の議員は「出足の遅さはあったが、いつもの仲間(立民、連合山形)の応援態勢は整ってきた。かなり迫られているという危機感を共有している」と話す。

 立民選対委員長大西健介は24日に県内入りし、山形市内の舟山事務所を訪れた。国民に疑念を抱いていた4月の来県時とは違い、共闘の構えを示した。「自民以外の選択肢が必要だと、それを山形で自分が示すと、舟山さんにはっきりと言ってもらう。われわれもしっかりと支える」。呼応するかのように、舟山は政権と対峙(たいじ)する姿勢を鮮明化している。

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