同庁の小林寛風力政策室長補佐と同省の会田義明大臣官房環境影響評価課長補佐が説明した。小林室長補佐は「再生可能エネルギーの導入拡大による脱炭素化の実現や、事業規模が数千億円に上ることによる経済波及効果、観光や漁業の振興が期待できる」と強調。遊佐沖は毎秒風速7メートル~8メートルで、風況も適していると説明した。事業者の参入検討に役立てられるよう、詳しい風況や海底地盤について調査していることも紹介した。
会田課長補佐は事業化前後5段階の環境影響評価(環境アセスメント)の手続きを示した。本来、環境アセスは事業者が行うが、洋上風力発電では、事業者選定前に参入希望者ごとに調査することで乱立による混乱が懸念される。同省は昨年度末、環境アセスの海域調査を代行し、乱立を防ぐ事業を創設した。遊佐沖が初めて選定され、先月から調査していると述べた。
住民からは「一部、事業者独自の環境アセスの調査が進んでいるが、事業規模を具体的にイメージできる案が示されていない。また事業者の一部は鳥海山の地下水への影響はアセス項目になく、調査の必要はないとも主張している」などの指摘があった。会田課長補佐は「環境調査が並行する点などは良くないと考えており、改善を検討している。項目にない調査は必要ないという認識は誤っている」と答えた。
県と町が主催し、県の担当者もこれまでの経緯を説明した。集まった住民は約100人。質問が相次ぎ、説明会は予定時間を超え約2時間半続いた。
◇遊佐沖の洋上風力発電 参入希望事業者が環境アセスメントなどで示す構想を総合すると、沿岸約1キロ以上先の沖合に、高さ200~300メメートル級の風車を30~60基並べ、40万~50万キロワットの電力を生み出す計画。再エネ海域利用法に基づき、国を主体に地元自治体や関係団体、住民との協議を踏まえ、賛否を含めて事業化を検討。遊佐沖は3段階の手続きの2段階目で、法定協議会で議論、調整が進む。
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