県内観光地、高まる期待 訪日外国人客の本格受け入れ再開へ

2022/5/20 10:06
訪日外国人観光客の受け入れ再開へ、県内観光地でも期待が高まっている=2019年6月、酒田市

 政府は訪日外国人観光客の本格的な受け入れを6月にも再開する方向で調整している。県内の観光地は国内客の動きが新型コロナウイルス禍前に戻りつつあるが、インバウンド(外国からの旅行)再開となると、活性化に一層弾みがつく。待ちに待った動きだが、新型コロナは収束したわけでなく、むしろ拡大傾向。感染者が急増すれば「また訪日が制限されるのでは」との不安は否めない。期待と不安に揺れる観光地の反応を探った。

 鶴岡市の出羽三山神社(宮野直生宮司)は参詣者の増加や地元の活性化につながると前向きに捉えている。訪日客は個人がメインになると考えており、同神社の吉住登志喜参事は「言葉や多様な個人のニーズにどう対応するかが問題」と話す。コロナ禍初期から、多言語対応のパンフレットや看板の整備、個人の外国人客に対応した研修など準備を重ねている。観光は主に屋外がメインのため感染症への不安は小さく「これを期に魅力を世界に発信していきたい」と語った。

 最上川舟下り事業を展開する最上峡芭蕉ライン観光(戸沢村、鈴木富士雄社長)は「県内外からの客足が回復し始めている中で、海外客の規制緩和はなおうれしい」と歓迎。担当者は「乗船前の検温や消毒、マスクの着用といった基本的な感染対策を徹底していく。外国人のお客さまにもコロナ禍前のように楽しんでもらいたい」と話した。

 米沢市の上杉伯爵邸の遠藤勲社長は「受け入れ再開で観光が動き出すのは喜ばしい」と期待する。国登録有形文化財に指定されている建物は外国人観光客から人気が高く、米沢牛をはじめさまざまな郷土料理の消費拡大が期待でき、食材の準備も進めていく考え。一方で「外国人が訪れることで地域の方々が不安を抱えることは避けたい。皆が喜べる形にできるよう自治体などと協力して準備を進めていきたい」と語った。

 山形市の山寺観光協会副会長を務める土産物・飲食店「ふもとや」の遠藤定治社長(66)は「ゴールデンウイークの山寺は国内の個人客で例年並みににぎわったが、日本が人口減にある中ではやはりインバウンド客に期待したい」と歓迎する。同協会はコロナ禍の中で英語ガイド組織を設立。活動を本格化できそうな6月以降を見据え、ガイドのシフト、料金体系や予約方法など受け入れ体制を整えているという。

 同市の蔵王温泉観光協会の伊藤八右衛門会長も「地域経済の活性化のためにも訪日外国人観光客の力が必要」と喜ぶ。「感染拡大防止に努めながら、精いっぱいおもてなしをしたい」と続けた。

 新型コロナウイルス禍で2020年4月から約2カ月間、一斉休業を敢行した銀山温泉組合。国内旅行客の入り込みはコロナ禍前のおおむね7割ほどに回復しているという。銀山荘の小関健太郎社長(38)は「全国から注目される存在であるからこそ、感染対策と健全な営業を両立し地域の不安を払拭していく責任がある」と力を込める。守るべき旅のエチケットをどう周知、徹底させていくかを再開後の課題に挙げ、「入国の際に分かりやすい統一メッセージを伝え、感染対策の実効性を高める仕組みが必要」と提言した。

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]