コロナ禍「資本増強不可欠」 きらやか銀、公的資金申請へ

2022/5/14 08:41
きらやか銀行本店(資料写真)

 じもとホールディングス(HD、仙台市)と傘下のきらやか銀行(山形市)は13日、金融機能強化法に基づき、きらやか銀への公的資金注入を金融庁に申請する検討を始めると発表した。申請金額や受け入れ時期は今後検討するとした。同行の川越浩司頭取は同日、山形市の同行本店で記者会見し「新型コロナウイルス禍で苦しむ事業者を支えるため、資本増強が必要不可欠と判断した」と述べた。

 申請を検討しているのは、コロナ禍で打撃を受けた地域経済を支えるために注入条件を緩和した特例制度で、実質的に返済期限はない。同行が申請第1号になる見通し。じもとHDが公的資金を受け入れ、同行に出資する方法を検討している。

 同行は2009年に200億円、12年に100億円と、2度にわたり計300億円の公的資金を受け入れており、このうち200億円は24年9月末に返済期限を迎える。会見で、川越頭取は返済原資となる自己資本は十分確保し、返済後も自己資本比率は6~7%になるとし「決して悪い数字ではない」と説明。それでも、コロナ禍で打撃を受ける企業を長期的に支えるため「資金注入による資本増強を選択した」と語った。

 さらに「(資金は)企業の資金繰りと経営改善の支援に充てる」と強調。経営責任を問う質問に対しては「苦しむ企業を目の当たりにしてきた。それをしっかり支えることが経営責任を果たすことだ」と述べた。

 公的資金注入が認められれば地方銀行では14年の豊和銀行(大分市)以来。

 きらやか銀への公的資金申請検討をどう受け止めるかとの取材に対し、山形銀行の長谷川吉茂頭取と荘内銀行の松田正彦頭取は共に「コメントする立場にない」と答えた。

長期的な支援基盤構築

 【解説】きらやか銀行がコロナ特例による公的資金申請の検討を始めた。コロナ禍で打撃を受けた県内企業の事業再生、資金繰りを長く支えるため、有利な条件の公的資金受け入れで自己資本を増強する決断をした。

 同行の取引先約8300社のうち、2割を特に経営環境の悪化している観光産業、サービス業、飲食業関連が占め、経営基盤の弱い小規模事業者も多い。これらの事業者に対する2022年3月末までのコロナ関連融資は3610件920億円に上る。

 本県経済回復のためには今後もきめ細かな金融支援が求められる。さらにコロナの動向やウクライナ情勢、原油・原材料価格の高騰は先行きが見えず、金融支援は長期間にわたることが不可避な状況だ。

 低金利の長期化、人口減少により収益環境が悪化する中、同行は21年3月期に赤字を計上したが、1期で黒字回復。自己資本は22年3月末までに634億円となり、09年に受けた公的資金200億円の返済が可能な水準に達している。

 ただ、川越浩司頭取は設備投資や事業再生などの資金需要はコロナ後に顕在化すると見通す。コロナで痛んだ事業者を長期的に安定して支える財務基盤を構築するため、返済期限のない新たな資金を受け入れることを選んだ。

 同行は200億円を下回る規模の申請を検討しているという。09年、12年と合わせ、受け入れ総額は500億円弱になる。今回の資金は返済期限がないとはいえ、いずれは返済しなければいけない公金だ。痛んだ中小企業の支援と、銀行としての収益力・財務基盤強化の両立という地銀に強いられている難題に今後も挑み続ける必要がある。

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