貧困を背景とした孤立などに悩む子育て世帯の“声なき声”をすくおうと、山形市は11日から無料通信アプリ「LINE」を活用した「おやこよりそいチャットやまがた」を始める。社会福祉士や精神保健福祉士らと会話形式の書き込みで相談できるのが特徴。書き込み形式の会話は直接面談するより物理的・心理的ハードルが低いと見込まれ、市は「支援が必要な世帯の早期発見につなげる」と話している。
市によると、相談業務はこれまでも対面や電話でしてきたが、一歩が踏み出せず声を上げることができない支援が必要な人は潜在的にいるとみている。若い年代に浸透しているスマートフォンの通信アプリを使った会話形式の書き込みは「チャット機能」と呼ばれ、その手軽さが支持されている。市は相談に対する抵抗感が下がると見込まれるメリットを最大限、生かす考えだ。
市は、県外で同様の事業を行う認定NPO法人フローレンス(東京、駒崎弘樹代表)と連携。フードバンク活動を展開するやまがた福わたし(同市、伊藤智英代表理事)、子どもの居場所づくりや相談支援を担う市社会福祉協議会(渡部正美会長)などが協力する。
チャットによる相談業務はフローレンスのスタッフが請け負い、社会福祉士や精神保健福祉士といった国家資格を持つスタッフが対応する。希望者は食材や日用品の宅配サービスの利用登録もできる。食品などの宅配で対面の機会を増やして見守りを強化し、虐待などを防止する。
フローレンスが関わった先行事例では、利用者から「社会との関わりを感じた」「育児に余裕が持てた」「孤独が解消できた」との感想が届いたという。
佐藤孝弘市長は「新型コロナウイルス禍で気軽に相談できる機会が減っている。自宅からチャットで相談でき、支援にアクセスするハードルを下げられるのではないか」と期待した。
「おやこよりそいチャットやまがた」は市の公式LINEアカウントを通じて登録できる。
|
|