再エネ、生かし切れない? 東北電ネット・初の出力制御、好天で発電増でも需要減

2022/5/1 15:08
県企業局の風車。再生可能エネルギーの発電を一時制限する出力制御は、再エネ施設が増えるほど一般的になるという=酒田市浜中

 東北電力ネットワーク(仙台市)は電力供給超過による大規模停電を防ぐため4月10日に再生可能エネルギー発電を一部制限する「出力制御」に初めて踏み切った。好天で太陽光の発電量が増える半面、工場などが稼働しない休日で電力需要が下がるためで、“稼ぎ時”を生かし切れないことにはなるが、県内発電事業者は「織り込み済み」と冷静。一方で、蓄電池など「インフラ整備が必要」と国に早急の対策を求める声も上がっている。

 基本、電力は作り置きができないので、需要に合わせ、供給する必要がある。蓄電池も開発されているが民間事業者は「高額な割に蓄電量が少なく、一般事業者の導入は困難」と話す。

 エリア全体の供給量が需要を上回りそうになると、供給超過による停電を防ぐため、各電力関連会社は国が定めた優先順位に基づき発電制限措置を取る。日照条件に恵まれ、太陽光発電が増えていた九州電力管内では、18年10月に国内で初めて出力制御した。冷暖房需要が減る春、秋の休日に供給量が需要を上回る状況になりやすく、雪国では特に融雪で水力発電量が増える春に、出力制御実施の可能性が高まる。

 加えて東北・新潟エリアでも太陽光発電は急増している。4月17日を例に挙げれば正午から30分間、供給した電力量の半分を太陽光が占め、同時間帯の水力と比較して2.7倍に相当した。今後も風力を加えた再エネ施設の急増が見込まれ、出力制御は増える見込み。その場合、一部の地域や事業者に負担が偏らないよう、東北電力ネットワークが輪番制で指示するわけだが、県内の発電事業者は制限措置をどう、受け止めているのだろうか。

 「冬に比べれば影響は小さい」と話すのは酒田港風力発電事業者協議会長の加藤聡加藤総業社長。太陽光と違い風が強い12月~2月が風力発電の稼ぎ時。暖房設備の使用で電力使用量も多くなるため、比較的、需給のバランスが取りやすいことも背景にあるという。

 また、庄内地域で昨年から風力発電に参入した業者は「稼ぎ時ではなくても、風が吹いている日に電気を売れないのは痛い」と本音を漏らし、「国として再エネへの転換を進めている以上、蓄電池などのインフラ整備も並行して力を入れてほしい」と語った。

 これから発電量が増える太陽光の発電事業者はどうか。遊佐町で杉沢メガヒカルソーラー発電所を運営する庄内バイオマス発電の担当者は「出力制御は織り込み済み。影響は大きくはない」と冷静な反応。その上で「そもそも、風力や太陽光の電気を従来の送電網で送ることで損失を生じさせているのは非効率的。蓄電池も重要だが、再エネこそ電力の『地産地消』できる送電網の仕組みが必要。体制が整えば出力制限などをせず、無駄なく電気を使うことができるのではないか」と指摘した。

メモ

 東北電力ネットワーク管内(東北6県・新潟県)で行った再生可能エネルギー出力制御は、4月10日に21件(太陽光13、風力8)。うち県内は太陽光1、風力2。同17日は2016件(太陽光1829、風力187)。うち県内は太陽光39、風力13。23日は太陽光7件、うち県内はなし。同24日は太陽光18件、風力16件、うち県内は風力2。

発電出力制御の優先順位

(1)火力発電制御と、水をくみ上げて発電する 施設の揚水量を上げ消費電力を増やす

(2)他地域への送電

(3)バイオマス発電制御

(4)太陽光・風力の発電制御

(5)水力・原子力・地熱の発電制御

記事・写真などの無断転載を禁じます
[PR]
おすすめニュース

県内ニュース最新一覧

[PR]