「よそ者パワー」全開 小池さん(米沢出身)、被災地の宮城・七ケ浜でノリ養殖

2022/4/10 09:15
「のりで世界を笑顔にしたい」と夢を語る小池勇輝さん=宮城県七ケ浜町

 米沢市出身の小池勇輝さん(27)が、東日本大震災の被災地・宮城県七ケ浜町でノリ養殖漁師の道を歩んでいる。担い手減少や新型コロナウイルスの逆風の中、6次産業化や後継者育成、デジタル化と次代をも見据えて奮闘。型にはまらない「よそ者パワー」を発揮している。

 養殖オフシーズンだが、朝5時には「じいちゃんのお古」という山形ナンバーの軽トラで浜に向かう。沖まで船を往復させ、いかだの撤収作業に当たる。震災時は九里学園高1年の山育ち。海を相手のなりわいは「全く想定してなかったシチュエーション」と日焼けした顔をほころばす。

 東北学院大を卒業後、適職が見つからず1年間フリーターに。ワタリガニ漁のアルバイトが転機になった。「スーツを着なくていいし、船酔いもしない。向いてるかも」。宮城県主催の漁業就業フェアで現在の親方に出会い、「この人について行こう」と直感的に決めた。移住して3年。家族を持ち、漁協の組合員になり漁業権を取得した。

 七ケ浜は皇室献上のノリの産地として名高いが、震災で壊滅的被害を受けた。協業化により再出発したものの、高齢化、後継者不足はどの団体も共通の課題。そこに、コロナ禍で飲食店の需要が激減した。

 販路開拓にと、のり製品の卸・販売を行う新ブランド「MINORI」を立ち上げた。商品開発・販売戦略を練るのは、いとこの東北芸術工科大生の朝倉一紗さん(19)だ。焼きのりと「のりチップ」を商品化。昨夏に山形市のスーパーで販売イベントを開いたところ好評で、6次化の取り組みに手応えを感じた。

 いま産地に必要なのはデジタルの力という。ベテランの勘と経験に頼っているが、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)の活用が他産地では進む。海水の栄養値測定、乾燥工程などを「見える化」するソフトの導入を強調。「さまざまな生い立ち、職業経験の人材が参入しやすい環境を整え、新スタイルの水産業に」と、デジタル化は担い手誘致の面でも武器になると話す。

 浜で働く楽しさ、種から手塩に掛けて育てるやりがいを会員制交流サイト(SNS)で発信する。高校の同級生2人をこの道に引き込んだ。修業の身ながら、産地を背負っていく気構えだ。

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