県内消防団報酬、15市町村が個人支給へ 消防庁通知や要望受け変更

2022/1/31 10:50

 全国で消防団員の減少や待遇改善が注目される中、報酬や手当を分団や部、班に支給(経由を含む)している県内18市町村のうち15市町村が個人に直接支給する方法への変更を予定・検討していることが30日、山形新聞の取材で分かった。活動実態がない“幽霊団員”や訓練などの重い負担、報酬引き上げの財源不足といった課題も見えてくる。

 消防団の報酬・手当を巡っては分団や部、班に支給され、一部で個人に行き渡っていない実態があった。組織の収入として市町村から支給されない物品の購入費や懇親会費に充てられており、こうした慣習の改善を求める声が上がっていた。消防庁は昨年4月、団員確保に向けた処遇改善のため、報酬などの標準額を示すとともに、団員に直接支給するよう通知した。

 県内35市町村の消防団の2021年度の報酬・手当の額と支給先は別表の通り。山形市など約半数の17市町村は個人に直接支給している(本年度末の支給予定も含む)。このうち上山市や長井市など9市町村は21年度に変更した。大蔵村は委任状を条件に、部への支給も続けている。

 22年度からの変更を決定、予定、検討しているのは米沢市など12市町。分団に支給してきた鶴岡市は「団員が3千人を超え、その多さもあり躊躇(ちゅうちょ)していたが、消防庁の通知を踏まえ判断した」。遊佐町は「アンケートで団員の多くが望んだ」としている。

 時期は未定だが最上町、川西町、戸沢村も個人支給を検討している。

 大石田町は班への支給を維持する。同町によると、団の幹部会で協議し、「これまで通りで問題ない」との結論に至った。ただ4月の幹部会で要望があった場合は再考するという。

 白鷹町の20代男性は個人支給を「前よりも透明性が高まった」と歓迎。部から運営費徴収の協力要請がきているものの「組織なので仕方がない」と受け止める。22年度から個人支給になる庄内町の30代男性は「分団支給には疑問を感じていた。休日をつぶして参加していた会合も減ってほしい」と期待する。

 個人支給が広がる一方、活動実態がない幽霊団員の問題も浮上している。三川町の30代男性は「活動していないのに報酬が支払われるのは納得がいかない」と話す。同町は個人支給への変更に合わせ、幽霊団員の籍を外すよう団長に求めるほか、「団員から提出される出動報告書をより厳密に精査する」という。

 西川町の30代男性は「多くは報酬目的で活動していない」と強調した上で、訓練の負担軽減を訴える。操法大会に向けて1カ月半の間、平日早朝に訓練を重ねるといい「大会は迅速な消防活動に向けた手段のはずが、目的化している。幹部の自己満足のために団員が疲弊している」と漏らす。

 市町村が頭を抱えるのは待遇改善の原資だ。消防庁が通知で示した一般団員の年額報酬の標準額は3万6500円、出動報酬の標準額は1日8千円。県内の現状とは大きな隔たりがある。酒田市は一般財源からの持ち出しが増えることなどから新年度からの増額を見送った。他の自治体も「規模が小さいほど財政負担が大きくなる。交付税での財政措置を考えてほしい」(新庄市、金山町)と切望している。

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