ガソリンの販売現場、混乱懸念 政府、価格抑制策を発動

2022/1/27 08:42

 レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格が170円20銭(24日調査時点)となったことを受け、政府は27日から1リットル当たり3円40銭を元売り業者に補助する価格抑制策を発動する。値下げではなく価格上昇抑制が目的のため小売価格は基本的に据え置かれ、県内でも大きな価格変動はない見通しだ。ただ値下げを期待する消費者は多く、販売現場での混乱を懸念する声がある。

小売り、採算ぎりぎり 消費者、値下げを期待

 価格抑制策はガソリン、軽油、灯油、重油の4油種が対象。24日時点のガソリンの平均価格170円20銭に、直近の原油価格上昇分3円20銭を加えた173円40銭が来週の予想価格となる。基準額170円との差額が元売り業者への補助額(3円40銭)の算出根拠だ。

足りぬ理解

180円に迫ったレギュラーガソリンの価格表示=26日、山形市

 仕組みが複雑で広く理解されているとは言いがたく、販売事業者でつくる県石油商業組合には事業者から問い合わせもある。給油所の従業員が消費者から「値下げしていないのはなぜか」と聞かれる可能性があり、担当者は「販売現場の混乱を最も危惧している」と話す。

 価格は輸送コストや競合店の状況、需要などを鑑みて給油所ごとに決める。補助分で価格上昇は抑えられ「来週は小売価格に大きな変動はない」とみるが、担当者は「現場で丁寧に説明できれば理解を得られるだろうが、果たしてその時間があるだろうか」と気をもむ。消費者の誤解を招かないよう「しっかり広報に取り組みたい」と話した。

 現場で消費者と接する給油所は価格設定に頭を悩ませそうだ。米沢市でガソリンスタンドを運営する米沢日石の担当者は「極端な値上がりを抑えることにはつながるが、輸送コストなどの関係で補助分をそのまま小売価格に反映することは難しい」と明かす。「心苦しいができる限り値下げにつながるよう対応していきたい」と続ける。村山地域で給油所を経営する男性は「消費者は値下げを期待するだろうが、小売価格はもともと採算ラインぎりぎりに低い。周囲の店の状況も見て価格を決めたい」と様子見の構えだ。

切実な問題

ガソリン価格が高騰し、消費者の生活を圧迫している=米沢市

 一般の消費者や、燃料代がかさむバス会社、運送会社などユーザー側の捉え方はさまざま。還元や値下げを望む声が多い。

 山形市消費者連合会は灯油の共同購入を長年続けている。高橋和子会長は「少しでも消費者に還元してほしい」と話す。暖房を灯油に頼る家庭が多く「寒さが厳しい雪国では暖房費は切実な問題」と訴える。原油価格高騰の影響で多くの生活物資の値段も高くなり、生活全体が苦しい状況が続く。原油が高騰する世界情勢は理解しつつ「安定供給が不可欠だ」と指摘した。

 米沢市のガソリンスタンドで給油中だった同市笹野本町、飲食店経営高橋卓也さん(37)は「燃料価格の高騰は家計、経営ともに圧迫し厳しい。灯油価格の高騰も冬の経営にはダイレクトに響く」と嘆く。価格抑制策は初めての制度でどんな効果があるか分からないとしつつ、「少しでも価格が下がれば」と願った。

 山交バス(山形市)は「長引く燃料高で増えた負担を埋めるほどではなく、納入価格にどの程度反映されるか見えないが、少しでも費用圧縮になればいい」と期待する。バスに使う軽油の2021年12月の納入価格は前年同月比で3割も上昇。今冬は雪が多く気温が低いため、運行時間が伸び、車内暖房分も加わって使用量は増えている。打撃を受ける多くの事業者の声を代弁し「燃料を使用する事業者に対し、使用量に応じて助成する方が理解されるのではないか」と語った。

 ティスコ運輸(山形市)は「“上流”でせき止められては意味がない」と強調する。小売業者が疲弊する中、補助分が小売価格に反映されるかは不透明だと感じている。省エネ策は限界に近いほど徹底しているとし「(抑制策が)ユーザーや消費者への還元措置となるよう望みたい」とした。

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