「回転ガントリー」をお披露目 山形大医学部東日本重粒子センター、今春にも運用開始

2022/1/17 21:56
人体模型を使った回転ガントリー照射装置の様子=山形市・山形大医学部東日本重粒子センター

 山形大医学部東日本重粒子センター(山形市)は17日、がん治療装置「回転ガントリー」の運用開始に向けた準備状況を報道陣に公開した。患者を傾けることなく、どの角度からも照射が可能で、肺や肝臓などさまざまな部位に対応できる精密装置。同センターは今春にも運用を始める方針を明らかにした。

 回転ガントリーは超伝導電磁石を搭載し、円筒形の回転体は全長7.8メートル、重さ200トン。回転体は2分で1周し、重粒子線(炭素イオン)ビームの角度を自由に変えられる。東芝エネルギーシステムズ(川崎市)が医学部のコンセプトを踏まえて開発し、世界最小の小型化を図った。昨年8月の照射開始を見込んだが、東芝側の調整不良で遅れ、同12月に装置の調整を終えた。

 この日は人体模型を使った模擬照射、ガントリーの回転の様子などを公開した。模擬照射では固定具をセットした人体模型をロボットアームの寝台で照射位置まで移動させ、ミリ単位で微調整して実際にビームを当てた。ビームは目に見えないため、照射で色が変わる特殊なフィルムを使い、深い部分まで届く照射領域を示した。照射時間は、前立腺であれば1回につき2分程度という。

 同センターは今後、照射の安全性などを確認後、まずは前立腺から治療を始める方針。その後は保険診療の頭頸(とうけい)部や骨軟部などに対象部位を広げる。治療開始のめどが立った段階で予約を受け付ける。臨床応用により治療可能な部位から随時、周知していく。

 さらに同センターは昨年2月25日に前立腺を対象に始まった固定照射室での治療に関し、2021年度の治療実績と予約件数が今月14日時点で既に508人に達したことも明らかにした。回転ガントリーの運用により、同センターは本格稼働となる。

 施設公開に先立つ記者会見で、根本建二センター長(理事・副学長)は「膵臓(すいぞう)など治療が難しいがんの克服が、重粒子線がん治療の大きな役割。安全性を担保しながら、難治性がんへの治療を早期に始めたい」と強調。上野義之医学部長は「回転ガントリーの運用や保険診療の適用範囲が広がることで、多くのがん患者が利用できるようになる。ようやく新しい治療技術を届けられる」と期待を込めた。

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