やり直しとは、やさしく問う 保護司描く映画「前科者」、岸善幸監督(最上出身)

2022/1/17 09:37
岸善幸監督

 罪を犯した人に寄り添い、更生を支える保護司の姿を描いた映画「前科者」の全国公開(28日)に先駆け、最上町出身の岸善幸監督(57)が18日、県内3映画館で舞台あいさつし、先行上映を行う。岸監督は「人がやり直しできる社会はきっと誰もが生きやすい社会だと思う。罪を犯す背景にあるものを想像するきっかけになればいい」などと作品に込めた思いを語った。

 香川まさひとさん・原作、月島冬二さん・作画による同名漫画が原作。映画では岸監督が脚本も手掛けた。コンビニ勤務の傍ら、保護司になって3年になる28歳の阿川佳代(有村架純さん)が主人公。保護司の仕事にやりがいを感じる中、殺人を犯した工藤誠(森田剛さん)の担当となる。無口だが誠実に仕事をこなす工藤の自立を期待していたが、保護観察終了目前に彼は突然姿を消す。並行して発生する連続殺傷事件の真相、若くして保護司となった阿川の過去が明らかになっていく。

 保護司は非常勤の国家公務員だが、活動に応じた実費弁償金の支給以外報酬はない。高齢化や、なり手不足が課題だ。阿川のような20代はわずかといい、彼女の背景の設定は脚本づくりの大きな要素となった。エネルギッシュに信念を持って向き合い、包容力あふれる有村さん演じる阿川の存在が「やり直しに本当に必要なものは何なのか」を問いかける。

 過去の過ちに対する容赦ないバッシングなど「失敗した人に対して厳しい、やり直しが大変な時代だと思う」と岸監督。一方で、「誰でも加害者になる可能性は身近にあるが、その時になるまで誰も考えない」と指摘する。さらに犯罪の背景には、深刻さを増す貧困などの問題が潜んでいるとし「社会が生きやすくなるためには想像すること、そしてどこかで許しが必要になる」と話した。

映画「前科者」の一場面

 番組制作会社テレビマンユニオンに参加し、バラエティーやドキュメンタリー番組なども手掛けてきた岸監督。常に「見てもらうこと」を意識し、本作もエンターテインメントに仕立てた。「とにかく楽しんで見て、感じたことの余韻をまた楽しんでもらえれば」と話した。

 先行上映はフォーラム東根が正午、ムービーオンやまがたが午後6時、フォーラム山形が同7時半から。

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