大黒様、ハタハタがありませぬ あす9日「お歳夜」の庄内、大不漁

2021/12/8 11:52
「大黒様のお歳夜」のお膳。ハタハタの田楽が主役で、黒豆ご飯、黒豆なます、焼き豆腐田楽、納豆汁などを食べる(県庄内総合支庁提供)

 庄内地域に本格的な冬の訪れを告げるハタハタが不漁となっている。11月の水揚げは昨年比、平年比ともに約90%減少し「庄内浜ではほとんど取れていない。これまでにない状況だ」と関係者。9日はハタハタの田楽などを食べる同地域の伝統行事「大黒様のお歳夜(としや)」。スーパーの一部ではお膳セットが販売できず、鮮魚コーナーでも例年の倍近い価格となっている。

 県漁業協同組合や県水産研究所によると、ハタハタの11月の漁獲量は4トン。豊漁ではなかった昨年同期ですら32トンで、88%減となり8分の1しか水揚げがない状況だ。平年比では93%減となっている。ハタハタはスズキの仲間で、日本海を回遊し5年程度生きるとされ、日本海沿岸地域で雷鳴が響き、水温が10度ほどまで下がるこの時季に産卵のため沿岸に近づく。この時季は水深200メートル前後におり、2、3年魚が底引き網で漁獲される。

 同研究所の話では、9月の底引き網漁解禁後、今季は不漁が続いている。「当初は時季が遅れていると思われていたが、今季は数が少なく、型も小さめのようだ」と担当者。海洋環境の変化などが要因と考えられるが、はっきりした原因は不明だという。

 鶴岡市本町1丁目の三浦佐五兵衛鮮魚店では例年、大黒様のお歳夜当日にハタハタを炭火で焼いて提供している。注文に応じて200匹前後を仕入れているが、今年はハタハタが値上がりし、入荷が不透明な状況を常連客に伝えているという。店主の三浦理さん(51)は「自分が携わってきた数十年でこんなことは初めて」と困った様子。「ハタハタが手に入らないことにはどうしようもない。心苦しい」と語った。

不漁のため子持ちのハタハタは価格が例年の倍近くになっている鮮魚売り場=酒田市・ト一屋みずほ通り店

 酒田市内で8店舗を展開するスーパー「ト一屋」では毎年、ハタハタの田楽を中心にしたお膳「大黒様セット」を900円程度で予約販売しているが、今年はハタハタの安定入荷が見込めず、販売中止を決めた。鮮魚でも100グラムが550~600円。例年200円程度のため、倍以上の価格となっている。「マグロの中トロやイクラよりも高い状態。鮮魚などは青森県産で対応している状況」と担当者は話した。

 本県と秋田、新潟両県の漁業者は15センチ以下は漁獲しないことや、秋田県では数量制限をするなど、資源確保に向けた取り組みも進む。酒田市で60年以上漁師をしている男性は「今までこんな不漁はなかった。これでは大黒様が歳を越せない」と語った。

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