「死は避けられたはず」 パワハラ自殺・酒田の消防士父親が講演

2021/12/4 13:05
酒田の消防士遺族が思いを語った過労死を考えるシンポジウム=山形市・山形国際交流プラザ

 パワハラを受けたことを苦にして自殺した酒田市の男性消防士の遺族が3日、公の場で初めて思いを語った。山形市の山形国際交流プラザで開かれた過労死対策を考えるシンポジウムで父親が講演。「幼い頃からの夢の職場で、息子はもっと仕事がしたかったはず。上司が適切な対応をしていれば死は避けられた」と話し、二度と悲しい事態が起きないよう組織は変わる必要があると訴えた。

山形でシンポ、組織改革の必要性訴え

 酒田地区広域行政組合消防本部に賠償請求した訴訟では2月に和解している。遺族が裁判以外で発言するのは初めて。男性は20歳だった2014年6月、訓練中に上司の厳しい指導や「おまえは必要ない」などの暴言を受けて自殺した。16年9月に公務員の労災である公務災害と認定され、翌年、組合の第三者委員会もパワハラと自殺の因果関係を認める報告書を出した。

 父親は約15分間、裁判終結までの道のりを振り返った。消防士になった時は家族で大喜びし「夢をかなえた息子が誇らしかった」。しかし亡くなる2カ月前ごろは厳しい訓練に疲れた様子で、夕食抜きで寝てしまうこともあったという。死後、同僚の証言などから具体的なパワハラ行為が明らかになり「後輩らの前で屈辱的な見せしめを受ければ、強靱(きょうじん)な心の持ち主でも壊れてしまう」と述べた。

 組合や上司の対応についても言及した。男性が不明になった際に「家庭で何かあったのではないか」と言われて傷ついたことや、報告があったのに対処しなかったのは「死んでも構わない」とパワハラに加担したのと同じだと当時のトップを批判した。また、組合が当初パワハラを認めていなかったことについても「子どもを失った傷跡をえぐられるようだった」と明かした。

 最後に、男性が「(所属していた)分署の皆さんともっと一緒に仕事がしたかった」と遺書に残したことを紹介。憧れの職場で死に追いやられた息子の無念を晴らしたいと裁判に立ち向かってきたといい、組織風土を改めることを求めて講演を締めくくった。

 シンポジウムは11月の過労死等防止啓発月間に合わせ、厚生労働省が各地で開催している。県内の企業などから約50人が参加した。これに先立ち、15社で産業医を務める原島浩一氏(東京)が講演。精神障害の労災請求は10年前から倍増しており、対処が急務だと指摘した。専門機関として山形産業保健総合支援センターによるセミナーもあり、休職者が復帰する際のポイントなどについて解説した。

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