山形大など「半固体電池」開発に成功 安全で高性能、商品化へ

2021/12/3 10:10
半固体電池を内蔵したスマートフォンケースを手にするBIHの長谷川貴一社長(左)と森下正典准教授=山形市・山形大

 山形大の森下正典産学連携准教授と民間企業2社は2日、リチウムイオン電池の電解液をゲル状にした「半固体電池」の開発に成功し、実用化すると発表した。従来のリチウムイオン電池を上回る安全性と性能を持つ、世界初の次世代電池という。来年度には半固体電池を内蔵したスマートフォンケースを発売する。

 同大の定例会見で発表された。説明によると、現在主流のリチウムイオン電池に使われている電解液は石油と同じ成分で引火性があり、安全性が課題とされている。一方で半固体電池は電解液をゲル状にし、液漏れや発火を防ぐことに成功した。電池としての性能も高く、従来型に比べて長寿命化と急速充電が可能という。

 森下准教授は2019年、同じくゲル状の電解質を用い、薄型で曲がる電池を公表したが、当時は試作レベルだった。今回、総合化学メーカー・大阪ソーダ(大阪市)との連携でゲル素材の高性能化と量産化に成功した。研究成果を基に企画・販売を担う「バッテリー イノベーション ハブ(BIH)」(米沢市、長谷川貴一社長)が現在、電池メーカーと量産試作に取り組んでいる。

半固体電池に使われているゲル状の電解液(山形大提供)

 次世代電池を巡っては、電解質を固体化させた「全固体電池」が自動車分野などで注目されているが、開発は難航している。そこで「全固体に近い新しい電池」(森下准教授)として生み出された。全固体電池にはないメリットとして、既存の設備で量産できるため大きな投資が不要という。

 商品化されるスマホケースには厚さ1ミリ程度の半固体電池が内蔵され、スマホの補助電源として利用できる。ケース表面には米沢織を施し、デザイン性も兼ね備えた。価格は未定。

 半固体電池は今後、ヘルスケア用品などへの実用化も検討する。森下准教授は「最終的には車載用電池として3~5年後の採用を見込み、電池の大型化を進める」と話している。

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