食害、蔵王山の広範囲で確認 樹氷形成のアオモリトドマツ、以前大量発生・ガの幼虫

2021/12/1 12:54
トウヒツヅリヒメハマキの食害に遭い、葉の一部が茶色に変色したアオモリトドマツ=山形市(山形森林管理署提供)

 山形市の蔵王山で樹氷を形成するアオモリトドマツが枯死している問題で、以前、現地で大量発生し甚大な被害をもたらしたガの幼虫による食害が再び広い範囲で見つかった。現時点で深刻な影響は見られないが、樹勢の衰退につながる恐れがあり、研究グループは警鐘を鳴らす。山形森林管理署などは、被害の拡大を防ぐため、慎重に推移を見守っていく。

 山形市内で30日、山形、宮城両県の担当者らが集まって開いた検討会で調査結果が示された。今回見つかったのは「トウヒツヅリヒメハマキ」の幼虫で、2013年ごろに大発生してアオモリトドマツの葉を食い荒らした。16年にはほぼ収束したが、樹勢が衰えたために、トドマツノキクイムシが入り込み、枯死被害が急速に広がった。

 トウヒツヅリヒメハマキの食害調査は継続して行っており、今年は7~10月に同管理署の職員らが調べた。蔵王ロープウェイ山頂線沿いや樹氷高原駅周辺を見て回ったところ、枯死が深刻なエリアに加え、その周辺など広い範囲で葉の一部が褐変しているのが見つかった。昨年は一部の場所でしか確認されていなかったという。木全体が変色するような被害はなかった。

 トウヒツヅリヒメハマキによる食害が再拡大すれば、枯死被害がさらに広がる恐れがある。森林総合研究所東北支所(岩手県)の磯野昌弘生物被害研究グループ研究専門員は「まだ大丈夫と思うのではなく、危機感を持ってもらいたい」と指摘した。自然公園法上は薬剤散布が可能となっているが、環境や生物への影響を考慮し、空中散布などはこれまで行っていないという。

 枯死被害は調査地点9カ所のうち、標高約1400メートル地点の1カ所で新たな枯死被害や倒木が確認され、生存率は9割から8割に減少したが、その他の8地点で変化はなく、小康状態にある。

 会議では引き続きトウヒツヅリヒメハマキの食害を受けた木の経過観察を行うことを確認した。アオモリトドマツの再生に向けては、標高1300~1400メートル地点から採取した稚樹を1600メートル付近に移植する試験や、植栽しやすいようにポットで苗木を育てる育苗試験などに取り組んでいく。

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