頼れる相棒~直轄警察犬、新旧交代へ(下) さあ出番だ、シェナ号

2021/11/23 13:56
シェナ号と訓練に励む大場善典巡査部長=山形市

 山形市にある県警の警察犬訓練所のグラウンド。つやつやした毛並みの雌のシェパードが県警鑑識課の大場善典巡査部長(42)の顔をなめ回す。「マスクを何枚駄目にしたか分からない」と大場さん。10月20日に県警直轄警察犬に新たに仲間入りし、25日に2歳になる「シェナ号」は元気いっぱいだ。

 10歳となったクィン号の後継として配属された。県外の民間の警察犬訓練所で育てられ、足跡追及の訓練を受けている犬を探す中、性格の優しさから選ばれたという。来たばかりの頃はおとなしかったが、1週間ほどで新しい環境に慣れて訓練を開始することができるなど「将来有望」(大場さん)という。

 11月中旬。大場さんの「座れ」「待て」の掛け声に合わせて動くシェナ号。少しぎこちないながらも反応したが、次の「伏せ」の合図には従わないときも。「待て」の合図でも我慢できるのは5秒ほどといい、地道な訓練が続く。

 直轄警察犬を導入するのは東北では本県と秋田県のみ。本県は直轄2頭と嘱託23頭の計25頭体制で、行方不明者の捜索などに当たっている。2016年の出動件数は156件で、徐々に減少しているものの20年は102件を数える。約9割が行方不明者の捜索で、特に認知症の高齢者を探すケースが多い。

 科学技術が発達しても行方不明者や犯人の臭いをたどれるような道具はない。犯行現場に防犯カメラがない場合もあり、警察犬の嗅覚は今も昔も「捜査の武器」だ。ただ、育成するには苦労が多く、現場投入に1年以上かかる犬もいるという。

 車の排出ガスが多い市街地で臭いを追えるようになるには一定の経験が求められる。さらに「縁石が駄目だったり、側溝が駄目だったりと、犬によって苦手なことを克服する必要もある」と大場さん。臭いを嗅ぐ訓練で使う布を飲み込んでしまう犬もおり、個性を見極めながら訓練するのが難しいという。

 こうした中で大場さんが最も大切にしているのは信頼関係の構築だ。例えばやぶの中の捜索で虫に刺されるなど突発的なことがあっても、逃げ出すようなことがあってはならない。真夜中でも出動要請に応じられるようにならなければならず「アメとムチ」を使いわけながら関係を築いている。

 大場さんが警察犬の担当になったのは2018年4月。一から育てるのはシェナ号が初めてだ。訓練所脇の官舎に住み、直轄警察犬2頭の健康に気を配りながら訓練に励み、出動要請に応じている。「責任重大だが、クィン号よりもさらに良い警察犬に育てていきたい」と意気込んでいる。

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