和島さん(酒田出身)監督・脚本映画、26日から県内公開 映す、障害者のリアル

2021/11/23 11:59
和島香太郎監督

 自閉症の息子とその母親が社会の中で生きていく姿を描いた映画「梅切らぬバカ」が26日から県内の劇場で公開される。監督・脚本を手掛けたのは酒田市出身の和島香太郎さん(38)。山形での上映を前に取材に応じ「新型コロナウイルス禍で監視する社会が広がる中、この視線が温かい見守りのまなざしに転じるきっかけになればいい」などと語った。

 母親・山田珠子を演じるのは、本作が54年ぶりの主演映画となる加賀まりこさん。「ちゅうさん」が愛称の息子・忠男をドランクドラゴンの塚地武雅さんが好演した。母子は古民家で寄り添うように暮らす。規則正しく几帳面(きちょうめん)なちゅうさんのペースに合わせ、軽口をたたきながらも世話をする母親との日常はほほ笑ましい。一方、枝が伸び放題の庭の梅に、引っ越してきたばかりの隣家から苦情が寄せられる。50歳を迎えた息子の将来を案じた珠子は、ちゅうさんのグループホーム入居を決めるが…。

「梅切らぬバカ」の一場面(c)2021「梅切らぬバカ」フィルムプロジェクト

 自閉症の男性の1人暮らしを追ったドキュメンタリー映画の編集に携わったことが本作の契機となった。近隣住民が映りそうになると避けるカメラ。障害による予期せぬ言動が元でトラブルが起き、近隣と良好な関係になかったことが背景にあった。障害者が地域で孤立する状況を目の当たりにし、ドキュメンタリーでは伝えられない現実を劇映画で描こうと決めた。さまざまな立場を丁寧に取材しありのままを投影した。

 タイトルにもある梅の木が本作の核だ。ちゅうさんにとっては父親の象徴であり、本作に込めた監督の願いの象徴でもある。梅の木の特性や「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」ということわざの意味が重なり、観客それぞれに問いかける。

 映画は、珠子の抱える問題が解決されないままに終わる。当初はハッピーエンドや何かしらの答えを出すことも考えていたという和島監督。しかし、不安を抱えたまま生きる家族らの話を聞き、何も解決されていない現状を知った。「答えを出すことで当事者の現実がゆがめられる気がした」といい、悩みながら作り上げた。「登場人物の日常は見た人の日常にも続いていく。映画を見た後に、そんなことを考え、見守りのまなざしを持ってもらえればうれしい」と語った。

 26日からフォーラム山形とフォーラム東根で公開。27日には両館で和島監督の舞台あいさつがある(山形が午前10時の回、東根が午後2時の回の終了後)。12月10日からは鶴岡まちなかキネマで上映予定。

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