頼れる相棒~直轄警察犬、新旧交代へ(上) ありがとう、クィン号

2021/11/22 14:06
クィン号の労をねぎらう大場善典巡査部長=山形市

 県警の直轄警察犬「クィン号」が引退し、間もなく県内の愛犬家に引き取られる。2013年に配属され、約8年間の出動件数は250件を超えた。10月20日には新たに「シェナ号」が仲間入りし、新旧交代に向けた準備が進む。科学技術が発達しても、優れた嗅覚で犯罪者や行方不明者の発見に力を発揮する警察犬。クィン号のこれまでの活動や、シェナ号の訓練の様子を通し、役割や育成の苦労を2回にわたって紹介する。

 「尻尾を引っ張られても怒らない犬はなかなかいないですよ」。県警鑑識課現場鑑識主任で警察犬担当の大場善典巡査部長(42)は穏やかなクィン号の性格をそう表現する。鋭敏な感覚と高い運動能力を持つシェパードの雌で、22日で10歳になった。人間で言えば60代という。

 配属日は2013年10月30日。これまで事件関係や行方不明者の捜索で193件、交通安全などの広報活動で59件、計252件の出動経験がある。得意なのは子ども向けの広報活動だった。あちこち触られたり、尻尾を引っ張られたりしても嫌がることはなく、どこに行っても人気者だった。

 一方で鼻がよく利き、行方不明者の発見などに貢献したこともある。19年4月、最上地方で認知症の高齢女性が行方不明になった。クィン号が臭いをたどって案内したのは、女性の自宅裏の雑木林。家族の盲点を知らせ、夜の林の中で座り込んでいた女性を無事見つけることができた。

 昨年3月には河北町で発生したコンビニエンスストアの強盗事件でも犯人の足取りを追うなど凶悪事件現場にも駆け付けた。今年1月には寒河江市で発生したさい銭窃盗未遂事件で足跡をたどると、他のさい銭箱が荒らされていることも判明。行方不明者の捜索範囲の絞り込みや余罪の発見などに活躍してきた。

 ただ、そんなクィン号も、野良猫から威嚇されて何度か大場さんの後ろに隠れることもあった。大場さんは「弱いわけではなく、けんかをしたくないという平和主義者的な一面もあった」と振り返る。

 現在の直轄警察犬は同じくシェパードの雌で7歳のきらり号もいるが、現場に連れて行くのは主にベテランのクィン号だった。県内には民間の愛犬家や訓練士が育て、有事の際に要請に応じて出動する嘱託警察犬も23頭いる。しかし、最上地域は空白区で、山形市から片道約2時間かけてクィン号が駆け付けることもあった。

 「出動のため夜中の1時や2時にクィンを起こすこともあった」と大場さん。「今後は警察犬としてのプレッシャーから開放され、安心して長生きしてほしい」とねぎらった。クィン号は24日に県内の愛犬家に引き取られ、余生を送る。

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