2021衆院選・コロナ下、託す思い[4] 困窮するひとり親世帯

2021/10/24 15:31
保育施設に子どもを送る保護者たち。子育て世代への幅広い支援が求められている(写真は本文とは関係ありません)

 「働きたいのに、子どもを見る人がいない。仕事も限られ賃金は低い」。山形市で男児(5)を育てるシングルマザーの細野順子さん(45)=仮名=は介護施設でパートで働いているが、実家は頼れず土日は働けない。子どもの小学校入学を控え、まとまった金額が必要になる。「習い事やさまざまな経験をさせたいが、諦めるしかない」。所得格差が教育格差になっていると感じ、心細い。

■掛け持ち

 県によると、県内のひとり親世帯は2015年の国勢調査で1万1497世帯。20歳未満の子どもがいる世帯全体の10.6%だ。

 小学5年の長男と暮らす東根市のシングルマザーの遠藤香奈さん(41)=仮名=は新型コロナウイルス禍でパートで勤務する飲食店が時短営業になり、休業日も増え収入が減った。月収は10万円ほどで、児童扶養手当を受給するなどしているが「このままやっていけるか不安」とこぼす。子どもと過ごす時間は増えたが「スナックなど夜の仕事との掛け持ちも考えている」と話す。

 ひとり親世帯などを支援するクローバーの会@やまがたの樋口愛子代表(48)によると、ひとり親家庭は生活保護との境界にいるケースがあるという。義務教育は授業料は無料だがそれ以外の出費で2人親世帯と差が生じる場合が多い。給食費や教材費、衣服にもお金が要る。「身なりや持ち物で引け目を感じてほしくない」。いじめなどにつながる格差を生まないよう、細野さんは一歩踏み込んだ金銭的支援を訴える。

■一時支給

 夫婦で子育て中の山形市のアルバイト従業員佐藤美織さん(34)=仮名=は妊娠中に就職活動をしたが、雇用先は決まらなかった。「小さな子どもがいて使いづらいと思われていると感じた。安心して産める社会はほど遠い」と指摘する。山形市七浦、会社員加藤信之さん(45)は夫婦共働きで高校生のほかに小学生3人を育てる。一部政党で一時金支給の公約もあり「ありがたいが、望んでいるのは年間を通した支援」と訴える。

■待遇改善

 安心して子どもを預け、働ける社会。その根幹を担うのが保育施設であり、現場の保育士だが、労働環境は厳しい。置賜地方の保育士竹内咲さん=仮名=は夫と共働きで小学2年と保育園児の2児を育てる。勤務先は多忙で、職員を募集しても人は集まらない。初任給が学生時代のバイト代よりも安く衝撃を受けた。「大変な仕事なのに給料が安ければ、保育士を志す人は増えない」と、国主導の待遇改善を訴える。仕事を家に持ち帰り寝る時間を削って作業する日も少なくない。「保育園の子どものために費やす時間の方が多い。自分の子のために働いているはずなのに」と、思いは複雑だ。

 労働環境・条件が壁になり、保育士の担い手が減れば、子どもの預け先の選択肢は減り、待機児童につながる。子を持つ女性たちが安心して働き、活躍できる社会は遠ざかる。竹内さんは政治のおかげで生活が改善したと実感したことはない。つらく迷いがある日常。この現実は、候補者の目に届いているのだろうか。

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