2021衆院選・コロナ下、託す思い[2] 増えない給与、上がる最低賃金

2021/10/22 11:39
本県を含め全国各地の最低賃金は大幅に上昇した。先行きが不透明な状況下、労使双方への支援の充実が求められる=山形市

 今月中旬、村山市のハローワーク村山を訪れた河北町の男性(34)は副業を探していた。産業廃棄物処理業に従事し、月の手取りは15万円程度。小学生と幼稚園児の計4人の子どもがいる。住宅ローンを抱える中、「勤務体系に不満はないが賃金が低い。これまではぎりぎりいけたが、収入より支出が多くなった。短時間でもできる仕事がほしい」。切実な思いを口にした。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響はさまざまな業種に及び、労働者と経営者の双方に打撃を与え続ける。本県の2020年の現金給与総額は前年を下回る厳しい状況下、安倍晋三元首相が打ち出し、菅義偉前首相が継承した経済政策「アベノミクス」は、大企業の収益は改善したが地方では実感が伴わないとされ、一連の評価も衆院選のポイントに挙げられる。

■「ヘトヘト」

 東根市の工場で働く男性(34)は「給与額は仕事の内容や量に見合っておらず満足できない」と憤る。元請けと同じ仕事をしているのに収入格差があることも納得できない。「ヘトヘトになるまで働いて、ようやく何とか生活できるくらいの給与額。飲みに行ってストレスを発散することもできない」

 コロナ禍で工場の生産が減り、残業がなくなり収入面を直撃した。独身で「とても結婚を考えられない。その上、子どもまでは…」とつぶやき、「政治家には何か給与アップにつながる施策を考えてほしい」と訴える。

■雇用に影響

 今年の最低賃金は政府の方針を踏まえ各都道府県で大幅に引き上げられた。本県は29円アップの1時間当たり822円に決定。労働者の処遇改善が期待される半面、経営者にとっては雇用維持などの面で深刻な影響が出ることが懸念され、支援の充実を求める声が上がる。

 村山地方でコンビニを経営する男性は「人件費のことは考えたくないのが正直な気持ち」と語る。10年以上前は最賃をやや上回る時給でもバイトを集められたが、近年は難しい。公共料金の支払いから税金納付、宅配便の発送、印鑑証明書・住民票の交付まで業務内容は幅広く、「時給の割に大変」というイメージが先行しているという。

■支援が必要

 5年ほど前から時給を大きく上げて人手を確保してきたが、最賃の29円の引き上げにより、その差は縮まった。「多くの業務をこなし、頑張っているバイトの時給をもっと上げてあげたい。コンビニをライフラインと位置付けるならば、経営者に支援があってもいいのではないか」と注文を付ける。

 村山地方のある食品製造会社では、時給換算で最賃を大きく上回る額を支給してきた。「安い給料では転職されてしまう」(男性社長)。かねてからの人手不足という課題に対応するには、待遇面の魅力向上は必須だ。

 従業員のためにも老朽化した工場のリニューアルを視野に入れるが、設備投資に対する国などの補助は不十分だと感じている。「与野党を問わず、こういった中小企業や労働者の実態を政治家は分かっているのだろうか。私たちが期待を持てる“熱い”政策を望みたい」と強調した。

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