衆院選公示前夜・県内3小選挙区(上) 県1区

2021/10/16 12:05

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 衆院選は19日の公示が目前に迫った。衆院解散から31日の投開票まで戦後最短の政治決戦。県内3小選挙区には計7人が立候補を予定する。県内議席を独占する与党勢に対し、野党勢による「5者会議」は共産党と協力し、県1、2区の共闘を実現。連携構築が未調整の県3区は不確定要素を残したまま、選挙戦になだれ込む。(文中敬称略)

 約2カ月ぶりの帰郷だった。今月7日の上山市後援会の拡大役員会に自民党前職の遠藤利明が駆け付けた。待ち構えた報道陣に、ぽつりと本音を漏らした。「しばらく地元の皆さんの声を聞くことができていない。今後もなかなか戻って来られないのが心配だ」

 遠藤陣営・本人不在、実績訴え

  ■ 経験ない戦い

 県1区では遠藤と元農相鹿野道彦が長く激戦を続けてきた。遠藤はイメージカラーとするオレンジ色のシャツ姿で選挙区を駆け巡ってきた。その遠藤は今、9選をうかがう重鎮に。五輪相、東京五輪・パラリンピック組織委員会副会長として東京五輪・パラの誘致・開催に携わり、岸田政権下で要職の党選対委員長に就き、総選挙を統括する。

 地元に軸足を置くことができない初の選挙が迫る。菅義偉から岸田文雄に首相が代わり、内閣支持率はやや回復したが、自民に対する風向きの変化は読み切れない。陣営内からは「自民批判が収まったわけではない。本人がいない選挙でどうなるのか」との声も聞こえる。党県連幹事長森谷仙一郎は「短期決戦は実績をどれだけアピールできるかが鍵だ」と話し、遠藤に全幅の信頼を寄せる。

 コロナ禍では、大規模集会で熱気と結束力を高める自民らしい戦いも難しい。陣営は会員制交流サイト(SNS)などを活用する戦術を描く。「自分の考えやビジョンを多くの人に理解してもらうことが大切。知恵を出し合いたい」と遠藤。経験したことのない戦いで、築き上げてきた支持基盤の力が問われる。

 原田陣営・共闘実現も温度差

  ■ それぞれの形

 一方、前々回の2014年以来、2度目の挑戦となる立憲民主党新人の原田和広(まさひろ)。今回は共産党が加わる形では本県初の野党共闘が実現した。統一候補として議席に手が届くかは、野党勢力の結集の強さに懸かってくるが、組織間には微妙な距離感も漂う。

 立民、国民民主、共産、新社会の各党県内組織は9月に共通政策で合意、党派を超えた運動の下地を整えた。共産は独自候補を取り下げ、原田のリーフレット配布などを精力的にこなすが、立民の選対組織とは別の枠組みで行動している。

 立民県連代表の石黒覚は「それぞれ運動しやすい形で協力している」と強調。共産県委員長の本間和也は「一緒の選対を組むことで、より力が発揮される」と合同組織を望みつつ、別動で戦った過去の参院選や知事選を引き合いに、連携面に支障はないとする。

 野党共闘を巡っては、最大の支持母体である連合山形の動向も焦点だ。全国組織の連合本部は、立民と共産の連携強化に異論を唱え、本県の労組関係者も「考えは変わらない」とくぎを刺す。連合傘下の産業別労組は立民、共産と距離を置く国民の双方に分かれ、陣営関係者は「(労組によって)支援には温度差がある」と吐露する。

 非自民系の県議や市町議が議員団を結成するなど支援の輪は広がりつつある。中央のねじれを解消し、一体になれるのか。石黒は「課題はあるが、一つにならないと戦えない」とさらなる結束を訴える。

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