石田さん(山形大大学院)全国最高賞 日本包装学会主催、自作装置で多層フィルムの研究

2021/10/7 14:01
自作の装置を使った熱収縮フィルムの研究で最高賞を受賞した石田克典さん(左)。奥は宮田剣准教授=米沢市・山形大米沢キャンパス

 山形大大学院有機材料システム研究科2年の石田克典さん(24)が、ペットボトルラベルに用いられる多層のフィルムの研究で、日本包装学会の学生ベストポスター賞を受賞した。自作の装置を使った実験で、高温によりフィルムの樹脂構造を変化させることで、層と層の接着性が向上することを明らかにした。これにより従来の接着層を省くことができ、環境負荷の軽減やコスト削減が期待できる。

 オンラインで同学会が7月に開かれ、全国の大学生、大学院生が発表した10件から最高賞に選ばれた。実際の製造装置を小型化した自作装置での実験結果が高い評価を得たという。

 ペットボトルのラベルに使われる従来型のフィルムは5層構造で真ん中に接着層がある。接着層をなくし、3層構造にすることで製造コストや環境負荷を減らそうと、山形大は東京の材料メーカーと共同で、接着成分と、ペットボトルラベルに求められる熱で収縮する成分を持ち合わせた樹脂「SBC」を研究開発した。ただ、SBCを使った新規型は、接着力に課題が残り、フィルムを伸ばす加工の段階で、フィルムが剥がれたり、ゆがんだりする問題があった。

 石田さんは温度やフィルムを伸ばす速度、距離を変えられる装置を作り、まずはフィルムを伸ばすためなどで必要となる加熱工程の温度に着目した。100度から160度まで10度刻みでフィルムの接着性がどうなるかを調べた。その結果、140度を超えると接着性が上がることが分かった。さらに、接着性が上がった高温時のSBCの内部構造を透過型電子顕微鏡で観察したところ、接着成分の規則性が乱れており、これにより外の層と接する表面積が増えていることが判明した。

 石田さんは工学部時代から3年間、この研究に取り組んできた。「達成感がある。製造の現場で役立ててほしい」と話す。大学院修了後は宮城県の自動車関連メーカーに就職し、研究開発に携わる予定だ。指導に当たった宮田剣准教授は「自ら考え、自ら装置を作るという姿勢が評価されたと思う。社会に出てから最も生かせる部分だ」と語った。

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