鶴岡市・現状と課題(下)産業 担い手確保が急務

2021/9/26 13:41
漁業など市の代表的な産業の担い手確保が課題となっている=9月1日、鶴岡市

 庄内沖の底引き網漁が解禁された9月1日。戻ってきた船からの水揚げや選別などの作業が慌ただしく行われ、鶴岡市の各漁港は活気づいた。「例年と比べても、まあまあの量が取れた。新型コロナウイルス禍で値段が心配なので、早く収束してほしい」と船長。海に面した同市ならではの産業である漁業。国内唯一の国連教育科学文化機関(ユネスコ)食文化創造都市として、農林業を含めた1次産業の振興は市にとって重要だが、担い手確保が大きな課題にのしかかる。

 漁業については、データが公表されている1983(昭和58)年度以降、就業者数が同年度の938人から減少傾向にある。2018年度は222人で、83年度と比べると約76%の減少となった。20年度まで10年間の新規就業者数の年平均は7人ほどで、20年度は人数がゼロだった。

 漁獲額は15年度の15億3100万円に比べ、18年度は11億3600万円に落ちたが、イカが豊漁でサケの引き合いも強かった20年度は11億9500万円に伸びた。ただ、1キロ当たりの魚価単価は漁獲量の減少によって単価が上がった17年度の519円に対し、20年度は445円。コロナ禍による飲食店、旅館などでの外食需要の減少が要因で、ヒラメ、タイ、ブリなど高級魚とされる魚介類の単価の下げが大きい。売れる環境を整えることが人材確保策とともに不可欠といえる。

 農業に目を向ければ、16~20年度に年平均163人が離農した。その前の5年間は年平均140人、さらにその前の5年間は年平均69人で、離農者数が拡大している。これに対し、新規就農者は過去5年間の平均が1年当たり28人で、それ以前の10年間と比べてもほぼ横ばいのため、全体的な従事者数は減少傾向にある。

 打開策として、市は農業経営者育成学校「SEADS(シーズ)」を昨年開校したが、1期生が当初の13人から5人に減ったことが問題視された。研修環境の充実を今後も進め、スムーズな営農につなげる必要がある。

 工業関係では、従業員4人以上の事業所が19年度は262社、従業員数1万1790人で、前年度に比べ10社、327人が減少。事業所数は12年度の298社に比べ、12%減った。同市の企業は大部分が中小企業で、経営者の高齢化、後継人材の不足という1次産業と同様の問題を抱えている。一方で製造品出荷額は増加傾向にあり、12年度の2538億円に対し、19年度は3817億円と5割伸びた。半導体製造装置関連が好調であることが背景だが、工業全体で二極化が進んでいるとみられる。

 また、コロナ禍によって同市の延べ観光客数は18年度が約637万人だったのに対し、20年度は約337万人に激減。観光はさまざまな業種に影響が及ぶだけに、立て直しが急務だ。産業界の実情の把握に努め、適切な支援策を打ち出すことが行政に求められる。

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