110番非常通報装置、県内普及まだまだ 学校や福祉施設、全国で導入進む

2021/9/25 09:22
110番非常通報装置を使って、不審者が侵入した際の対応を確認した訓練=南陽市・宮内認定こども園

 強盗などの重大事件が発生した際、ボタンを押すだけで警察の通信指令室につながる「110番非常通報装置」。主に日本防災通信協会(日防災、東京)が普及に力を入れており、学校や知的障害者施設での殺傷事件を受けて、全国では社会的に弱い立場の人が利用する施設への導入が進んでいる。一方、県内のこうした施設への日防災が関わる設置は2016年以降、1カ所にとどまっている。

 強盗や不審者侵入といった重大事件が発生した場合、装置のボタンを押すと施設名や住所と共に非常通報が警察本部の通信指令室に送られる。指令室から折り返し電話がかかってくるが、取れなくても最寄りの警察官が迅速に駆け付ける仕組みだ。装置は日防災提携業者以外も取り扱っている。

 日防災山形県支部が指導・助言する装置は今年7月末現在、県内531カ所にある。約97%が金融機関や駅、高速道路などの公共スペースだ。社会的弱者と呼ばれる障害者、高齢者が利用する福祉施設・病院は2カ所、女性・少年の保護更生施設1カ所、保育所・幼稚園・学校1カ所の計4カ所と少なく、全国平均の62カ所、東北平均の22カ所と比べて大きな差がある。

門扉に掲示された「110番非常通報装置設置」のポスター

 特に16年に相模原市の知的障害者施設で発生した45人殺傷事件以降は、全国的に社会的弱者関連施設への新設が加速し、全国平均41.4カ所、東北平均15.2カ所に上る一方、本県は福祉施設1カ所だけだった。

 園舎の新築を機に14年に導入した南陽市の宮内認定こども園は24日、南陽署、日防災県支部と合同で、不審者対応訓練を行った。「家庭内暴力(DV)で別居中の父親がナイフを手に『子どもに会わせろ』と押し掛けてきた」との設定。職員は冷静に装置を作動させ、4分後にパトカーが到着し、署員2人が不審者役を取り押さえた。

 講評で南陽署の加藤幸生生活安全課長は「結果的に“空振り”でも良いので、危ないと感じたらすぐにボタンを押して」とアドバイス。職員の多くが女性ということもあり、宇津木純子理事長は「民間の警備会社とも契約をしているが、ダイレクトに110番につながり、警察がすぐに駆け付けてくれるシステムは安心感がある」と話した。

 日防災県支部によると、装置の導入費用は約30万円、運用費用は月額約5千円。私立の保育所や認定こども園、幼稚園への導入に対する国の補助制度はあるが、あまり知られていないという。訓練を見守った四釜明支部長は「子どもや職員の命を守るために装置は有効だ。普及のために公的な助成拡大を期待している」と話した。

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